Nobody's Coming To Save You | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Up UKのリーズを拠点とするThe Sunshine Undergroundの2nd。ダンス/レイヴ色の強い前作はスルーしたが、今作はロック色が強くなったと聞いて購入した。


リードトラックComing To Save YouからSpell It Out、We've Always Been Your Friendsの流れが最高。カサビアンやThe Musicを思わせる、粗暴かつグルーヴィーなチューンが続く。うねるギターのカッティング、地を這うベースライン、乱れ打ちのドラム。そこに男臭く少し泣きの入ったメロディーが乗せられる。歌詞の内容も、くすぶっている日常から新しいステップを踏み出そうというポジティブなものが多い。


4曲目In Your Armsから少し雰囲気が変わる。ここからはこのバンドの新骨頂とも言うべき、ダンサブルなビートになり、呪術的なグルーヴが展開される。しかし、これらの曲も要所要所でロックテイストが効いている。また、80’s的なわかりやすいシンセを基調としたような曲もあり、いろいろな引き出しを持っていることを感じさせる作品になっている。


ややハイトーン気味なヴォーカルやいかにもラッドなテイストは好き嫌いが別れるところだろう。個人的には、ここまで腰の入ったロックチューンは久方ぶりに出会ったような気がする。雑誌のインタービューでは、元々バンドの志向に「ダンス」と「ロック」の2つの線があって、今回は「ロック」寄りになったという事を言っていた。


日本盤には、3曲のアコースティック・ヴァージョンが収録されている。ギター一本と歌だけの弾き語りスタイルである。こういうスタイルで聴くと、このバンドの下地にあるのはスケールの大きいメロディーにあることがわかる。


例えばアルバムのラストを飾るThe Messiahを聴くと僕はEmbraceというバンドを思い出す。朗々と高らかに叙情的なメロディーを歌い上げる、素晴らしいバンドである。


惜しむらくは若干予定調和的なところが見え隠れするところ。ボーナストラックに見られる「遊び」が、本編にあっても良かったかなと個人的には。



おすすめ度★★★★(08/02/10)
Coming to Save You