結成14年目にして、先日初来日を果たしたグラスゴーのインディーバンド、Camera Obscura。今作は2006年にリリースされた3rdであるが、来日記念ということで日本盤化されることとなった。
ひとえにグラスゴーのサウンドと言っても、多岐にわたっていて説明するのが難しいが、Camera ObscuraはBelle&SebastianやVasellinesあたりの流れをくむバンドだ。親しみやすくポップなメロディー、タイムレスな魅力を持ったアコースティックサウンド。
オープニングのLloyd,I'm Ready To Be Heartbrokenの疾走感は、アルバム紹介の名刺代わりとして完璧な役目を果たしている。まさにここから、めくるめくドリーミーポップな世界が始まるのだという、そういう気持ちにさせてくれる。当然この曲を皮切りに良質なメロディーの楽曲が並ぶ。
ギターロックからストリングスが加わり最後は壮大なトラックへと変貌していくLet's Get Out Of This Country。はねるビートやオルガンサウンドで60'sな香りに包まれたIf Looks Could Kill、I Need All The Friends I Can Get。ドリーミーにラストを飾るRazzle Dazzle Roseまで、時にモノクローム、時にカラーでというメリハリをつけながら聴かせる。心の琴線を知り尽くしたような素晴らしいアレンジが魅力的。知識が嫌みに写らず、どこか音楽への愛を感じさせる。ボーナストラックの5曲も力作であるが、アルバムと切り離して聴いた方がいいだろう。それくらいよくまとまったアルバムだと思う。
形としては古典的だろうし、シーンを変える力はないが、こういう当たり前によいものを聴くととても安心する。「古いとか、新しいとか、しゃらくさいのさ」(by「温故知新」~忌野清志郎)
おすすめ度★★★★☆(03/02/10)