英国はロンドンの3ピースバンドWhite Lies。デビューアルバムはすでに本国ではチャート1位に輝いたとのこと。注目度の高いデビューアルバムである。
リヴァーブやコンプがガシガシきいたギターにシンセが絡む、ダークで艶っぽいメロディーに低温のヴォーカルという構造はジョイ・ディヴィジョンを彷彿とさせるだろう。漆黒の闇から奏でられる情念を帯びたロック。ただWhiteLiesの場合、もう少し広がりがある。
例えば、ジョイ・ディヴィジョンの影響を受けたバンドとしてEditorsが挙げられるが、彼らに比べるとWhite Liesのメロディーは陽的な部分が見られる。その分、歌メロのインパクトが強い。これはバンドにとって大きな武器ではないだろうか。
そして、ギターのフレーズやシンセのちょっとした音色もツボを突いたものが多い。From The Starsではストリングスを取り入れているが、これがちょっと斬新な感じである。センスの良さというか、アレンジ・プロデュースによるところも大きいと思うが、サウンド全体に艶っぽさが感じられるのだ。
曲名からもわかるように、その世界観は死を匂わせるものが多い。ただ刹那的なものではなくて、死というものを見据えた上で、自分の存在理由を何とかつかみ取ろうとするような生々しさを感じる。決してスマートではなく不器用に傷つきながらも、しっかり前を見据えているような凛とした姿が浮かぶ。
個人的には メロディアスでエモーショナルな曲で押していく前半よりも、祈りを捧げるようなNothing To Hide、壮大なラストナンバーThe Price of Loveと流れていく後半が好きである。
とりあえずデビューアルバムとしては十分合格点だと思う。インパクトも十分。非常にまとまりがいい。ただ、彼らが更に進んでいくためには、このまとまりの良さをどこかで破壊しなくてはならないと思うが、どうだろう。
おすすめ度★★★★(11/02/09)