Prospekt's March/Coldplay | Surf’s-Up

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Surf’s Up Coldplayの「Viva La Vida」に収録されなかった曲や、別ヴァージョンをシングルとしてカット。8曲入りということもあってミニアルバム的な扱いであるが、「Viva La Vida」からこぼれ落ちたにしては惜しい名曲が並んでいる。

 新曲は5曲。「Glass Of Water」 は、スケールの大きいピアノによる疾走感のあるナンバー。「Rainy Day 」は「Vi Va La Vida」ばりのストリングスと、グラマラスなメロディーが絡み合うという新境地を思わせるナンバー。ただ、まだ「実験室」の中にいるといった感じで、洗練されているとは言い難い。個人的には地味ながら、じわじわと十八番のセピアなメランコリックが広がっていく「Prospekt's March」が好きである。が、やはりアルバムに入るには地味すぎるような気がする。

 ということで、この新曲群はクオリティー的には遜色がないが、やはりアルバムに収録されるところまではいっていないというのが率直な感想。

 別ヴァージョンは、ヴォーカルをフィーチャーした「Life In Technicolor Ⅱ」。ただ、「クリスの歌が入ってしまえばただのColdplay」という感じもして、「Viva~」で感じたような新鮮で心躍るような高揚感はなく、普通の「いい曲」というところ。Jay-Zをフィーチャリングした「Lost+」は、悪くないがちょっと安直な感じがする。Osaka Sun Mixと題された「Lovers In Japan」は、音が幾分厚くなった感じ。

 全体的なまとまりもないけど、やはり端々から感じ取られるこのバンドのポテンシャルは空恐ろしいほどに高い。で、それと対比的にバンドのイノセンスというか、どれだけ大きな存在になっても、どこまでも無邪気なところもひしひしと伝わる感じがおもしろい。自分たちの凄さに、一番気づいていないのは彼らのような気がする。

 おすすめ度★★★☆(21/12/08)

Lost+