The BBC Sessions/Belle&Sebastian | Surf’s-Up

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 Belle&Sebastianが1996~2001までにBBCのセッションで残した音源が今回リリースされた。2枚組であるが2枚目は2001年ベルファストで行われたライブ。



前作「The Life Persuit」は、ベルセバ史上最も開かれたアルバムとなったが、このセッション集は 時期的には「Fold Your Hands Child, You Walk Like a Peasant 」が出た頃あたりまでなので、今のベルセバとはまた違う趣を感じさせるセッション集となっている。



「I Could Be Dreaming」や「The State I am In」といった代表曲もあれば、隠れた名曲的なものもある。「Tigermilk」「天使のため息」「The Boy With Arab Strap」「わたしの中の悪魔」という5枚のアルバムを出した頃とかぶるわけだが、アルバムごとに見るとベルセバが音楽的志向をマイナーチェンジしながら成長していった姿が浮かび上がってくる。しかし、このセッション集のように曲ごとでまとめてみるとクオリティーにバラツキがないので、一つのアルバムのように聴けてしまう。



 つまりは、このセッション集を通して変化しているように見えるベルセバサウンドも、根幹となっている部分は全くぶれていないんだなということがわかる。スチュワート・マードックの瞳はずっと同じものを見つめているというか、見えるものが変わっていっても、描き出そうとしているものは変わらないのだろう。




 もちろん、音楽的クオリティーは申し分ない。実にいい曲を書くし、余計なものを入れないシンプルな志向は自分たちの作る音楽に相当自信があるのだろうと思う。



 2枚目のライブ盤、これもまた素晴らしい。3曲のカバー曲があるのだが、まず選曲はかなりベタ。いきなりHere Comes the Sunって、なんかちょっと洋楽かじっている日本人でもやりそうな展開。しかし、これがなんともシンプルで美しい。原曲となんら変わらないアレンジだけど、いい。ほかのカバー曲は、The Velvet Undergroundの「I'm Waiting For The Man」、Thin Lizzyの「Boys Are Back In Town」。これまたよくカバーされる曲だが、こちらもベルセバなりに原曲に近づけようと演奏している。そして、これまたいい味を出している。



 もちろん「Me And The Major」「The Wrong Girl」などの代表曲も。1曲1曲終わるごとの観客の熱狂がどこか合わなくておもしろいのだが、その辺のぎこちなさが感じられるのもライブ盤の魅力なのかもしれない。



 おすすめ度★★★★(19/11/08)



The State I Am In




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