シガー・ロスの新作。アイスランドではなく、世界各地でレコーディングされたとのこと。その影響があってか、今作はそれまでにない解放感のあるメロディーと演奏が聴ける。
1曲目Gobbledigookから新出発を強烈に感じさせてくれる。太古的なビートに手拍子、軽やかなアコギの響き。今までは、彼らの音楽を聴くと、まるで「妖精のサウンドトラック」と思わせられるところがあったが、ここまでくると本当に妖精がこの音楽を奏でているのではないかという気持ちにさせられる。
4曲目Vith Spilum Endalaust のポジティヴなメロディーラインはこれまでの彼らからは想像できないほど。もちろんこれまでのような孤高の美しさを秘めたナンバーもポイントとしてちりばめられている。5曲目Festivalはまさに彼らの真骨頂。時が止まってしまいそうなほど濃密な美しさがそこにはある。エンディングに向かって行くにつれて、この瞬間がずっと続いてほしいと思わせるような素晴らしいナンバー。7曲目Ara Baturの壮大なオーケストレーションも実に見事。感動という言葉は安易に使いたくないが、まさに「感動」のアルバムだと言っていいと思う。
ミニアルバムで見られたアコースティック寄りのサウンドが今作ではさらに成熟し、新たな力を得たような瑞々しさをもって響いている。そして、 人を寄せ付けないような孤高の美しさを持った彼らの歌が、今作で初めて人間に手をさしのべた、そんな風に僕には響いてくる。
おすすめ度★★★★☆(08/05/08)
Gobbledigook