待ちに待ったR.E.M.の新作。28年というキャリアを誇る彼ら。とっくにシーンから遠ざかってもおかしくないほどであるのに、未だロック・シーンの一つの指針であることに驚きを覚えてしまう。
そしてこのアルバム、かねてから噂だったように、全体的にラウドな作品となっている。1曲がだいたい2,3分で、トータルでも35分ほど。まさに、あっという間なので心して聴いてほしい。「ライブの良さや勢いを再現したアルバム」とも言われているが、言い得て妙だと思う。
オープニング「Living Well Is The Best Revenge」からラウドなギターがギアを入れ、グイグイと引っ張っていく。3曲目「Supernatural Superserious」はR.E.M.の真骨頂とも言うべき、じわりと広がりを見せるサビが特徴的。アルバムに必ず1曲は入っている、必殺の名曲だ。
4曲目「Hollow Man」から、若干シフトダウン。9曲目ラウドな曲を挟みながらも、ミドルテンポな曲が増えていく。その中では、個人的に「Until The Day Is Done」という曲が好き。「Automatic For The People」の「Sweetness Follows」を思わせる、元祖オルタナ・カントリーというべき
クラシカルながらも内省的なトーンを持った1曲。新しさを感じさせる曲が多い中で、結果的に自分は「昔ながら」なところに魅力を感じたりしてしまう。これはやはり悪しきファンなのでしょうか?
10曲目「Horse To Water」から、再びトップギアに。ラストの「I'm Gonna DJ」は「世界の終わりでDJするぜ」と高らかに宣言する、彼らのリスタートを代表する1曲だと言えるだろう。マイケル・スタイプ自体、自分がそのことを言わなければならないという強い自覚を持っているのだと思う。つまりは、それこそがR.E.M.のR.E.M.たる所以であると思うのだ。「世界の終わり」はもうそこまで来ているのかもしれない。それでも、自分の生き方や思想は少しも揺らぐことはない。自分自身であり続けること以外に何もないということを、このシンプルなロックソングは教えてくれる。それは簡単なようで、ものすごく難しいことなのだ。
彼ら自身だって、それをさらりとやってのけてきたわけではないだろう。ぶつかり、苦しみながらも、前を向いてきた結果がここにあるのだろう。正直、最高傑作とは言えないが、これだけのキャリアを重ねながら、まさに「今」の音を作り上げる、彼らの底力には本当に恐れ入る。そして、どうしようもなく憧れてしまう。本当に大好きなバンドだ!
おすすめ度★★★★(08/4/3)
Supernatural Superserious