ブルックリン出身の3人組Nada Surf,通算5枚目のアルバム。春になると不思議とTFCやTravisを聴きたくなる自分なのだが、このアルバムもまさにその「仲間入り」をしそうだ。
このアルバム、一言で言うと、実にしっかり作られていて、奥深い。
1曲目「See These Bones」のメランコリックな曲調に、「あぁ、またこの手のバンドか・・・」と思う人がいるかもしれない。メロディーは素晴らしいのだが、やや使い古された感のあるストリングスとアルペジオがちょっと辛いところもある。しかし、2曲目「Whose Authority」からがらりとその印象が変わる。これまた、胸を締め付けるような切ないメロディーと、TFCを彷彿とさせるざっくりとしたギター、絶妙なコーラスワークが一体となった素晴らしい曲。その後もWeezerだったり、Coldplayだったり、良質なメロディーを基調とした「ギターロック見本市」といったところだ。なによりも、メンバーの職人的こだわりが随所に見え隠れするところがよい。そして、一見清涼感を演出しているようで、スリーブを読めば分かるんだけど、その裏には「生」への想いや「死」という一つの運命をどうとらえていくかという重いテーマがある。この作品が節操なき物やありきたりな物に成り下がっていないのは、そういった「隠し味」のレベルが実に高いからだろう。
ギター・ロックもさらなる多様化を見せつつあるシーンであるが、こういう正統派が評価させる場がもっとあっても良いと思う。少なくとも僕はこのアルバムを全面支持する。
おすすめ度★★★★☆(08/4/01)
Whose Authority