初めて武道館に足を踏み入れたけど、まさに大きなライブハウスといった様相だった。
そこに、びっしりとシロップファンで埋め尽くされていた。1万人以上。
きっと、それぞれの想いを抱えていたのだろうけど、不思議な一体感があの会場にはあった。
統制と言うことではなく、皆シロップに「導かれている」という感じ。
素晴らしいライブだった。最後にして最高のライブだったと自信を持って言える。
みんなのありったけの想いに応えるかのように、「きこえるかい」で始まったのも良かった。
「負け犬」でミスって、五十嵐が「負け犬だけに」って言い訳していたのも良かった。
五十嵐、中畑、キタダのスリーピース。彼らの演奏がここまで鬼気迫るように聞こえたのは初めてで、それもたまらなく良かった。
大好きだろうけど、やってくれないだろうなぁと思っていた「月になって」「Anything For Today」をやってくれたことも嬉しかった。
ただ、当然「素晴らしい」という一言で片づけられるようなライブではない。
ふと五十嵐がつぶやきだした。
「あーっ、終わっちゃうなぁ。」
誰もが終わってほしくないのに、そんな風につぶやく。
しかしながら、そんなつぶやきの後の「パープルムカデ」は
微塵の迷いも感じられない、終わりへの感情がバーストしていた。
解散することについて、あれこれ考えるのはもうやめにしている。
しかし、この瞬間はさすがに考えた。
なぜ、彼らは終わってしまうんだ?
唯一MCらしいMCで五十嵐は
「明日はない」と言った。
でも、続けて
「プレーヤーから明日が見える曲を、いっぱい書いたので
よかったら聴いてください」と言った。
Syrup16gの明日は存在しない。でも、みんなの明日は確実に続いていく。
あの会場で何度となく繰り返された「ありがとう」。
自分なりの「明日」を続けていくこと。終わりのないワルツを踊り続けるように。
シロップに対して自分ができることは、それくらいかな。
僕は「ありがとう」とは言わなかったけど、シロップが照らし出す「明日」を不器用に、不格好に進んでいきたいと思う。
最後の曲「Reborn」では、会場が一気に明るくなった。
ラストアルバムのジャケットのように、白く輝いた会場。ステージと客席との線引きが一気に消えたような気がした。
また次があるんじゃないかってくらいに、最後は笑いながらステージを降りた3人。
でも、ここで確かに終わったのだとも感じた。
そう思ったとき、ふと泣いてしまった。
会場の外は冷たい空気で、ライブを振り返る人々、何事もなかったかのように冗談を言い合う人々、帰りの地下鉄の話をしている人々などでいっぱいだった。もうここから、「明日」は始まっているんだろうな。
きこえるかい
無効の日
生活
神のカルマ
I.N.M
Anything For Today
イエロウ
月になって
負け犬
希望
センチメンタル(アコースティック)
明日を落としても(アコースティック)
もったいない
生きたいよ
途中の行方
ex.人間
正常
パープルムカデ
天才
ソドシラソ
Sonic Disorder
coup d'Etat
空をなくす
リアル
さくら
ニセモノ
新曲
イマジネーション
scene through
She Was Beautiful
落堕
真空
翌日
Reborn