ロック好きに決まってんじゃねえか! | Surf’s-Up

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British Sea Powerの3rd/ Do You Like Rock Music?を聴いた。


前作はメロディーをより引き立てる作りになっていた分、1stで見せた問答無用のパンキッシュな部分にリミッターがかけられ、そこがファンの中では賛否両論を呼んでいた。個人的には、彼らの書く素晴らしいメロディーがよりわかりやすくなったのは、新たな魅力を伝える方法として正しいと思いつつも、どこか物足りなさを感じることもやはりあった。それは、フジでの彼らのパフォーマンスを見た人にはきっと分かると思う。


で、新作であるが、2ndで培った豊穣なサウンドに1st時の攻撃性を若干ブレンドした作品であると思う。これが第一印象。あえていうと、そこにややゴージャスな味付けがされているかな。


1曲目「All In It」の野太いコーラスが淡々と続くところから、その後どこかで弾けてめくるめくカタルシスが訪れるのだろうとわくわくするのだけど、あえてそうはいかず、2曲目「Lights Out For Darker Skies」から徐々にアクセルを踏み込んでいく感じでアルバムは展開する。4曲目「Waving Flags」でそのアクセルは全開になり、その後はほどよいバランスで、緩急を付けたサウンドを展開。どの曲もメロディーがしっかりしているのが印象的だ。最終曲「We Close Our Eyes」はBSP流サイケデリックとも言うべき曲で、甘美でノイジーなテイストも彼らは持っているのだなぁと感心。


スケール感のあるメロディーとちょっとひねたアレンジがうまくまとまっているこのサウンドは、まさにBSPの個性と言えるだろう。ただ、注文を付けるとすると、ボートラの「The Pelican」のような巨大でカオティックなナンバーがアルバムの中に見あたらなかったことは少々残念である。「KRANKENHAUS? EP」を聴いたときに、ちょっと期待してしまったもので。アクセルベタ踏み、ハンドル制御不能なそんなカオスな世界に誘っていただけないものだろうか。


でも、いわゆる英国生まれらしい、ユーモアの効いた味わいのある素晴らしい作品だと思う。Editorsといい、BSPといい、何となく日本では地味な感じがするんだけど、自分の中で大事にしていきたいバンドなので、それはそれでいいんだ。

British Sea Power/Waving Flags