Mouth To Mouse
実は以前シングル「My Song」のレビューを書こうとしてどうしても書けなかったことがある。「あなたを見ていたい その場にいれる時だけ 裸を見ていたい 言葉はすぐに色褪せる」あまりにもストレートなラブソング。名曲「Reborn」を凌ぐ傑作だと思うのだが、シロップの中で、この曲がどう位置づけられるのかやはり僕には分からなかったし、この曲の裏にあるだろうものを一生懸命読み取ろうとしたが、何も分からなかった。
このアルバムにも収録されているのだが、しかしその世界観がこのアルバムでは見事に違和感なくとけ込むことに成功している。彼らは作品の中で、一貫して一見絶望の光景にしか見えない「そこ」にこそ何かしらの希望があるということを伝えようとしているように思う。そういう視点でよくよく考えてみると「My Song」に広がる光景というのは、ありきたりのようで実はなかなか存在しないものだ。これだけストレートに想いを伝えると言うこと自体が何か「白昼夢」のようだ。しかし、シロップは本気で信じている。存在しないような愛だって、確かに成立することを。「変態」では、いつかさなぎが、完璧なフォルムを持った蝶になり大空に羽ばたくことを、「ハミングバード」では、セミも花も悲しいと言える人間の感性の正しさを。歪で空想めいたことが、確かに存在すると言うことを、彼らは一貫として歌い続けている。そういった意味では「My Song」も歪な楽曲群の一つなのだろう。
前作「Hell-See」と同様、バランスよく楽曲が並べられているアルバムである。アルバムのイントロがレディオヘッドのあるアルバムのようであるが、1曲目「実弾」から最後までどうしようもなく鋭い言葉が並んでいる。そして、サウンド的にもさらなる成熟を見せている。エレクトロを随所に使いながらも、ギターロックの様々な魅力が感じられるアルバムである。当然、メロディーもこれまでの中で最高のクオリティーだと思う。
おすすめ度★★★★★(04/5/26)
この文章は、僕がかつて自分のサイトで書いたもの。改めて見直してみるとどこかに恥ずかしさがあったりするんだけど、かといって加筆修正しようともあまり思わない。こんなこと考えてたんだなぁ、という当時の自分を振り返るのは結構おもしろい。
Syrup16gラストライブの詳細が発表されました。ぴあでは、チケットプレゼントやってるらしいですね。しかも、そのせいなのか、ぴあが入手困難になってるらしい。そう考えるとチケット倍率も相当高そうだ。田舎ものにとって、キャパの大きい会場のライブはチャンスだと思っていたんだけどなぁ。北海道の人も日帰りできるようにという配慮もされて設定されたライブなんだから、なんとか行かせてくれ。
そんな今の心境は・・・
だから先生、「地方枠」をくれよ