今朝起きてスマホでグーグルを見るとこんなニュースが!
詳細はリンク先の大学のプレスリリースをご覧頂きながら、雪男なりに医学用語が多々あるのでそれを補完しながら読み解こうと頑張ってみようかと。
以下、リリースの写しです。
「【概要】
東京医科大学(学長:宮澤啓介/東京都新宿区)組織・神経解剖学分野(髙橋宗春主任教授)の大山恭司准教授、大村捷一郎(同大学社会人博士課程3年、精神医学分野専攻医)、高山夏海(同大学医学科第6学年、自由な学び系科目「リサーチ・コース」所属)らの研究グループは、学習・記憶を支える海馬歯状回においてTGFβシグナルが転写因子Sox4を介してアストロサイト前駆細胞を未分化な状態に維持し、分化開始のタイミングを制御していることを明らかにした。
アストロサイト(アストロサイト(星状膠細胞)とは、脳や脊髄などの中枢神経系に存在する細胞(グリア細胞)の一種。星のように四方へ突起を伸ばした形状をしており、神経細胞(ニューロン)への栄養供給、脳内環境の維持、そして神経伝達の調節など、脳が正常に働くための重要な役割を担っている・・・AIより)は、神経細胞のシナプス形成や情報伝達に不可欠な役割を果たす。本研究では、海馬歯状回のアストロサイト前駆細胞(何にでもなれる「幹細胞」と、特定の役割が決まった「完成品の細胞」の中間に位置する細胞。目的地(どんな細胞になるか)はほぼ決まっていますが、まだ成熟しておらず、特定の細胞に成長する手前の段階)が生後1日目に増殖のピークを迎え、その後、細胞周期を離脱して分化を開始するという明確な時間的スイッチを示した。
ここで雪男は増殖と分化の違いを押さえておくと「細胞の増殖は分裂して細胞の「数を増やすこと」を指し、分化は特定の役割や機能を果たすために細胞が「専門化すること」を指します」と言う事らしい。この分化がなぜ気になるかと言うと「未分化」は未分化なので良いかとおもっていたのだが、グリオブラストーマの悪性度は未分化状態だと悪いと言うのだ、つまりは、分化度が低いガンは増殖スピードが非常に速く、悪性度が高いのが特徴だかららしい。
- 高分化(成熟した細胞): 正常な細胞に近く、増殖は比較的緩やか(主に良性)。
- 未分化(未熟な細胞): 元の細胞の形や機能からかけ離れており、急速に分裂・発育 (> <)。
脳腫瘍では、この未分化な状態を「退形成性(たいけいせい)」と呼ぶこともあるとの事だ。
例えば、悪性度2→悪性度3の「未分化星細胞腫(または退形成性星細胞腫)」星細胞腫がさらに悪性化して未分化な状態→「神経膠芽腫(こうがしゅ)」のさらに悪性化が進んで凶暴な悪性度の高いグレード4(雪男はここ!)
さらに、この前駆細胞にはTGFβシグナルが働いており、これを阻害すると分化が急速に進むことを明らかにした(訳すとTGFβシグナルが働かないようにする事で分化を抑えていたのに抑えが利かなくなる)。
TGFβ–Sox4はこれまで悪性脳腫瘍(グリオブラストーマ)の幹細胞維持機構として知られていたが(まったく知らんかった、勉強不足)、本研究により、この経路が正常な脳発生においてもアストロサイト前駆細胞の運命を制御することが示された。これらの知見は、脳のグリア細胞がどのように作られるかについての基礎的理解を深めるとともに、将来的な脳腫瘍治療への応用に向けた基盤情報を提供するものである。
この研究成果は、2026年7月1日(日本時間)、国際神経科学誌「Frontiers in Cellular Neuroscience」(IF 4.4) に掲載された。
【本研究のポイント】
- BLBP(Brain Lipid-Binding Protein、別名FABP7)は、主に脳内の神経幹細胞や放射状グリアといった細胞で発現するタンパク質です。)陽性(これが陽性であるということは、採取された組織または病変部位に神経系の幹細胞としての性質を持つ細胞や、未熟なグリア前駆細胞が多く含まれている (> <) )アストロサイト前駆細胞が生後1日目(P1)に増殖のピークを迎え、その後(P3-P6)分化を開始するという時間的な切り替えを明らかにした。
- 転写因子(DNAの特定の配列に結合し、遺伝情報をDNAからRNAへコピーする「転写」のプロセスを促進または抑制するタンパク質の一群)Sox4がアストロサイト前駆細胞を選択的に標識する新たなマーカーであることを発見した。Sox4は未分化な前駆細胞のみに発現し、分化を開始した細胞や神経細胞前駆細胞には発現しない。
- TGFβシグナルがSox4軸を介してアストロサイト前駆細胞の未分化状態を維持している(と言う事はTGFβシグナルが働かないようにする事で分化を抑えていたのに抑えが利かなくなる)
- 分化開始のタイミングを制御していることを、薬剤による機能阻害実験によって示した。
- このTGFβ-Sox4経路は悪性脳腫瘍(グリオブラストーマ)のがん幹細胞維持機構と共通しており、正常なグリア細胞発生と脳腫瘍形成が同じ分子機構を共有していることが示唆された。
【研究の背景】
脳の神経回路を支えるグリア細胞のうち、アストロサイトは神経細胞のシナプス形成や情報伝達、血液脳関門の維持など多彩な役割を担うことが知られている。従来、アストロサイトはGFAPと呼ばれるタンパク質を発現する均一な細胞集団と考えられてきたが、近年のシングルセル解析により、アストロサイトが多様なサブタイプから構成される不均一な細胞集団であることが明らかになってきた。学習・記憶を担う海馬の歯状回においても、BLBP(Brain Lipid-Binding Protein)陽性細胞がアストロサイト前駆細胞として重要な役割を果たすことが示唆されてきたが、これらの細胞がいつ、どのようにして分化を開始するのか、その制御機構は明らかでなかった。そこで本研究では、マウス海馬歯状回においてアストロサイトの前駆細胞の増殖から分化への切り替えがどのように制御されているかを明らかにすることを目指した。
【本研究で得られた結果・知見】
BLBP陽性アストロサイト前駆細胞のうち、増殖状態にある細胞(Ki67陽性)は出生直後(P1)にピークを迎え、その後、細胞周期を離脱して分化を開始したアストロサイト(p57陽性)が生後3-6日にかけて蓄積する。すなわち増殖から分化への明確な時間的スイッチが存在する。
転写因子Sox4は、この増殖性前駆細胞に選択的に発現しており、分化を開始した細胞や神経細胞系列には発現しない。すなわちSox4はアストロサイト前駆細胞の新規マーカーとして機能する。
増殖性前駆細胞にはTGFβ1が発現しており、TGFβシグナル阻害剤(SB431542) を用いて機能を阻害すると、Sox4陽性の増殖性前駆細胞が著しく減少し、代わりにp57陽性/BLBP陽性の分化初期アストロサイトが急激に増加した。
これらの結果は、TGFβシグナルがSox4を介してアストロサイト前駆細胞の未分化状態を維持し、分化開始のタイミングを制御していることを示している。
【今後の研究展開および波及効果】
本研究で明らかになったTGFβ-Sox4経路は、悪性脳腫瘍であるグリオブラストーマの幹細胞維持機構として知られてきた分子経路と共通している。したがって、正常な脳発生におけるアストロサイト前駆細胞の制御機構を理解することは、脳腫瘍の発生・進展メカニズムの解明にもつながる可能性がある。
今後、TGFβ-Sox4経路の遺伝子改変マウスを用いた解析や、他のアストロサイト系譜との関係の解明を進めることで、脳のグリア細胞の多様性がどのように生み出されるかについてのさらなる理解が期待される。
また、アストロサイト前駆細胞の増殖と分化のバランスを制御する分子機構の解明は、将来的に脳腫瘍治療における分化誘導療法や、神経疾患におけるアストロサイト機能修復への応用に向けた基盤情報を提供するものと期待される。
【掲載誌名・DOI】
掲載誌名:Front. Cell. Neurosci. 20:1882016
DOI:10.3389/fncel.2026.1882016
【論文タイトル】
TGFβ signalling maintains Sox4+ astrocyte progenitors and restricts the early differentiation of BLBP+ astrocytes in the mouse dentate gyrus
【著者】
*Kyoji Ohyama, Shoichiro Omura, Natsumi Takayama, Tokiharu Takahashi」
以上から、まだまだ先は長いが少しづつでも前に進んでいる。お金あればどーんと医科大に寄付したいところだが、皆さん頑張ってください!