失礼します。みんなが試合に向け頑張る中ゼミ活動を頑張っていました、3回生の向山です。

先日の加古川レガッタ、その後の2000測定ともに、お疲れ様でした。
試合や測定を終えて、考えることはそれぞれ違うでしょう。今回の学びと、そこから見つけた課題と、そのために今後どうするのかという計画があれば特にいいですね。最低これを持っていれば、結果の良い悪いに関わらず、この試合期間は「意味」のあるものになると思います。

今回はそんな「意味」について、「本質」についての話です。
ゼミ活動で得られた、「失敗から学ぶことの大切さ」を通して伝えられたらなと思います。
(えぐい長いです。けど大事なことだと思うので、今やっていることの「意味」について悩んでいる人に特に読んでほしいです)

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順を追って話します。

僕の所属する伊藤ゼミでは、名市大のあるゼミの方々と毎年1つのテーマについてのお互いの研究成果を発表し合う、という活動をしています。
今年は「攻めの経営、守りの経営」がテーマでした。
テーマ以外は決まっておらず、この攻守の経営それぞれを定義し、仮説を立て、事例研究を通して出した結論から、この研究の意味(意義)はこういうことだ!と最後に伝える。ここまでの流れを自分たちで考え発表するという活動です。

僕たちは、

  攻め:自社にとって革新性が高い
     安定した売り上げが見込めない
      ↕︎相反する
  守り:自社にとって革新性が低い
     安定した売り上げが見込める

と定義し、これを同時にこなす両利きの経営をするべきでは?という仮説を立てました。

事例にはアサヒビールを選びました。スーパードライの一本足打法で成長し2000年過ぎからその他事業(ドライ以外の酒類、飲料、食品、国際など)が増えていく中で成長した企業です。
スーパードライ一本という守りの経営から、その他の攻めを加えた両利きの経営に変化していった事例ではないか、という考えです。

この会社は各時期に注力した事業が違うのにそれぞれ成功、全期間で見ると右肩上がりという業績でした。(これが下の②の根拠となります)

最終的には、アサヒの成功要因として、
①攻めと守りの両利きができていた
②資源配分の切り替えのうまさによって攻めを成功させ続けた
ことを挙げました。

そこから、
①攻めと守りどちらもすること
②資源配分をうまく切り替えること
の2点を重要な点として結論付けました。

…お気付きの方は多いと思いますが「両利きをする」ことは、言ってしまえば会社にとって当たり前のことで、どちらかというと②の「資源配分のうまい切り替え」のほうが重要でより独創的な研究課題です。
にも関わらず、結果として、自分たちは①の証明に注力し時間がかかり、②を詳しく調べ発表することはできませんでした。

結果言われたのが、タイトルと同じ意味の感想。

「んー、いや、よく調べられてるし、おもしろいし、わかるんだけど、つまり伝えたいことってどういうことなのかな?」

また別の方からは、
「スーパードライが出てきたから商品開発の話かと思えば、M&Aの話まである。もっと、ここにフォーカスしました!っていうほうがいいのでは?」
「商品開発やM&Aとか混ぜたまま話すとしたら、例えば、よりマーケティングに近い話にすればわかりやすかったのでは?」
「これだけでは多角化すればいいという話にも聞こえる。『足し算の経営』の話しかできていない」
という声も。

そして決定的だったのが、

「自分たちが話の中で言ってたことを軸にすればいいと思うよ。これって結局、経営者のうまい判断によってできたんだよね。なら『経営のブレ』を軸に話せば、『経営のブレがなく、それに沿った行動をして成功したアサヒビール』という事例研究になったんじゃないかな」

という発言です。

自分たちが本当に言いたかったこと。これに気づくのが遅く、ちゃんと調べる時間がなかったこと。そのため発表の中心が調べた範囲となり、結果まとまりのない形になってしまったこと。
全て見透かされていたようでした。

今回は、「攻めの経営、守りの経営」というテーマに沿った話はできてはいました。しかし、独自性やその研究の社会的意義という部分、もっと簡単に言えば、その研究の「おもしろさ」という大事なポイントが、僕らの研究発表には欠けていたのです。
「ありふれた結論を言うために、めっちゃ調べてきたので聞いてください!!」と言っても、結局は聞き手が知っている内容なのですから、おもしろくないですよね。
「ああ、そんな見方もあったのか!勉強になるなぁ」という感想を持ってもらうことが必要なのです。

つまり、
①テーマに沿う
②独自性というおもしろさ
という2つの、テーマ研究の発表の目的、つまり「本質」を自分たちが見つけられなかったからこそ、僕らの研究は高い評価を得られなかったのです。

長い時間をかけたからといって結果評価されるとは限りません。「本質」さえ捉えていれば、そこにかけられた労力は関係なく評価されるのです。僕はこのことを改めて考えさせられました。

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最後に、身近なものについて考えてみましょう。

個々人についての話です。
あなたの今の目的はなんでしょうか。
やりたいこと、でもいいと思います。
僕は元々経営コンサルタントを目指すつもりでこの大学を選び、入りました。
なので大学での生活の目的は、「経営について学ぶこと」がメインです。
その中で僕は、
①知識を得るもの
②知識をもとに考えるための事例
の2つが必要だと思いました。
①講義、ゼミ、本など
 =知識を得る場所
②部活など
 =身近な事例
としたわけです。
(これも部活に残っている要因の一つです)

その他「人にわかりやすく物事を伝えられるようになりたい」とか色々やりたいことはあります。(かっこのやつに関しては本や講義で知識を得て、ゼミや部活で実践・反省・改善、みたいな感じですかね)
そうすると行動の一つ一つに意味が生まれ、しんどくてやめたくなったときでも目的があるから続けられます。

また、人を見る目も変わります。
人の話一つでも、①話す内容②話し方(伝え方)③声の大きさ、抑揚④ジェスチャー⑤表情…と色々な要素があります。
クソつまんねえ話をする人でも話し方が自分よりうまければ、自分との違いは何か、どうすればその人みたいにうまく話せるかを考えるだけで、少なくともその話を聞いている時間は無駄にはなりません。(話はクソつまんないのでそのままでは参考になりません。しかしどうしてその人の話がクソつまんないのかを考えると、自分がクソつまんない話をしない方法を学べます)

こんな感じです。見方によって一つのものでも色々学ぶことができます。
そして部活とはその機会に溢れた場です。人の数だけ自分との比較ができますから。
人がいるだけで参考になるきっかけは山ほどあるのに、ボートという競技を通すとさらに、乗艇、エルゴ、ウェイトなど比較する時間が増えます。
しかも考える機会が自然と与えられる、という点が強いです。
普段人と話をしているときに、その話し方とかまで考える人は少ないと思います。
しかし、自分の横ですごい速さでエルゴを引く人を見たとき「なんでこの人はこんなに速くエルゴを回せるんだろう」と考えるローヤーは少なくないのではないでしょうか?
意識せずとも考える機会が与えられ、考える経験ができるのは部活動の強みです。人が多いならなおのこと。
僕は部活動の「本質」はそこにあると思います。
勝ちを目指す中で切磋琢磨し、さらにその中で、考える経験を自然と積める。
本気であればあるほど、自然と「考えて実行」はできると思います。

見出した意味が多ければ多いほど、モチベーションは上がると思います。
例えばエルゴタイムが落ちたとき、タイムにしか意味を見出せていなければマイナスにしかならないですが、前回の自分と比較してみる(漕ぎ方、ペース配分、体調、前日の生活習慣など...)と少なからず発見があるはずです。発見というのは新しく得たものですから、プラスのものです。うまく使えれば、そのときの失敗はマイナスどころかとても価値のあるものになります。
失敗自体は悪くありません。悪いものにしてるのは考えることを放棄した自分自身でしょう。

ぜひ失敗したこと自体の「表面的事実」に目を向けず、失敗した原因などの「本質」に目を向けてみてください。それだけで考える力は養われ、就活、ひいては今後の人生に役立つと思うので。

これがみんなの考えるきっかけとなって、少しでもモチベーションに繋がることを祈っています。

以上です、失礼します。