「あなたを忘れない」
数年前、東京・新大久保駅で
線路に転落した酔客を助けようとして命を落とした
韓国人青年の感動の物語。
青年の生い立ちと、日本での生活を描く。
祖父・父の在日経験から関心を持ち来日。
バイトしながら日本語学校へ通うも、
今まで受けたことのない差別や同胞の苦しみを知り、
近くて遠い両国の隔たりを痛感する。
そんなある日、
韓国ではバンドを組んでいた音楽好きの彼は、
ストリートミュージシャンのユリに目が止まる。
そして親交を深める中、急速に惹かれ合ってゆく2人・・・
中でも、
あるパーティーの舞台で、
得意のギターでいきなりユリの曲を演奏して
驚かせる場面は、印象に残るいいシーン。
いつしか、
両国の架け橋としての仕事をしたいと思っていた彼。
そして・・・
その天真爛漫な笑顔を見ていると、
残酷な現実に胸を締め付けられる。
26年の短い人生を熱く駆け抜け、
隣憫に生きた若者がいたことを、
いつまでも心に刻み込んでおきたい。
- AMGエンタテインメント
- あなたを忘れない
「Life 天国で君に逢えたら」
今年オープンした新宿バルト9 にて初鑑賞。
他に丸井などが入る近代的ビルにあるシネコン。
かつてここには、新宿東映パラスという映画館があり、よく来た。
小学生のとき、
弟と、母親に連れられてディズニーの「くるみ割り人形」を観たし、
代々木の予備校サボって、ここでよく映画観てた。
が、もはやその面影はまったくない。
さて、映画は、
ガンと戦って逝ったウィンドサーファーの物語。
以前、彼の手記を元にした
テレビドキュメンタリーを見たことがあったが、
果敢に人生と向き合う姿が、
主題歌の切なげなメロディーと相俟って、涙腺を刺激する。
桑田圭祐のソロでは、
「Merry X'mas in summer」なんかが好きだったが、
今回は、それに匹敵する出来。
永遠の命の輝きと、家族・仲間の深い愛に感動する。
観てよかった!
「夕凪の街 桜の国」
旧ユーロスペース跡にできた、
渋谷シアターN にて初鑑賞。
漫画の映画化だが、注目作。
昭和33年、
被爆から13年が経過した
広島の物語
「夕凪の街」と、
その後、
現在を描いた物語
「桜の国」の、
二部構成。
「夕凪の街」では、
いまだ癒えぬ
被爆のトラウマに苦しみつつも、
つつましく生きる
母子を描く。
麻生久美子演じる皆実は、
恋人のプロポーズにも、
幸福への罪悪感に苛まれる。
「生きとってくれてありがとう」
という恋人の言葉に心を開くが、
被爆の後遺症が徐々に体を蝕んでゆく・・・
「うちら家族のこと忘れんといてな」
清楚で、健気な皆実が、
忌の際、
弟・旭(堺正章)にささやく一言が涙を誘う。
そして現在、
その旭の娘・田中麗奈演じる七波の物語
「桜の国」。
一家で東京で暮らし、
活発で、今風で、
被爆のことについてあまり知らない七波が、
ある日、
父の跡をつけ、広島を訪ねる。
そこで、
初めて直面する「被爆二世」という現実。
突然の発病への恐れ、
そして差別・・・
原爆の禍根とその罪深さを
声高に訴えるのではなく、
半世紀の時を経て、
現代の家族の
何気ない描写との連続性により、
静かに、
その非人間性とおぞましさを
浮かび上がらせる。
そして、
世代のつながり、
家族の意味を問い、
今、生きる喜びを謳った感動作。
ぜひ、海外でも公開して欲しい作品である。