縦割りという名の無責任  

 新聞記事で私が気になったのが、父親が警察でも保健所でも
「主治医に相談してください」
と断られていることである。

 私もこれまでの体験から、保健所の電話相談はネットでさっと拾える以上の情報は教えてくれないという実感をもっている。

 主治医に相談してもラチが空かないから、保健所でなにか助けてくれるすべはないのかーーー。患者家族は、一筋の灯台の光を求める難破船の思いで電話をしているのである。そんな気持ちに寄り添っていただけたと感じたことは残念ながら一度もない。

 縦割りでなく、医師、看護師、ソーシャルワーカー、行政、警察、地域などの支援をワンストップで受けられる場があってほしいが、その実現は夢のまた夢でしかないのだろうか?

 警察や保健所の「主治医に相談して」というのも、根底では納得できなくもない。主治医が一番に患者の病状を理解している「はず」だからだ。

 ただ、患者の暴力行為を各担当者が父親から聞き取っていたはずなのに、警察や保健所の単独の裁量による支援が、「主治医に相談して」という冷たい助言以外に何もないとしたら、どうだろう?

 いったい私たちはなんのために税金を払っているのだろう?

<おわり>