Q 社員が懲戒事由に該当したため、けん責処分とし、始末書の提出を求めたのですが、当該社員が応じな | SUPPORT SOURCING

Q 社員が懲戒事由に該当したため、けん責処分とし、始末書の提出を求めたのですが、当該社員が応じな

Q 社員が懲戒事由に該当したため、けん責処分とし、始末書の提出を求めたのですが、当該社員が応じないため、解雇しようと思います。法的に可能ですか。


 けん責は辞書で見ると、「不正・過失・失敗などをとがめしかること」とあります。この場合、けん責処分という懲戒処分を通知することで、既に処分は完了していることになります。つまり、「○○○○氏をけん責処分とする」と文書などで通知することが処分になるわけです。

 一方、始末書の提出は、上記処分後の行為であり、一種の謝罪を要求していることになり、始末書の提出に応ずるかどうかは労働者の任意といえます。仮に始末書の提出が処分に含まれるとしても、あくまで処分であって業務命令とはならないため、始末書の不提出をもって解雇することは無効となると思われます。

 また、一事不再理の原則(有罪・無罪または免訴の判決が確定した事件については、再び審理をすることを許さないとする刑事訴訟の原則)に照らし、判例においても、始末書の不提出を契機に解雇処分をしたものを無効としたものもあります。

 しかし、始末書が単なる謝罪ではなく、一連の不祥事の顛末を会社に報告するものであれば、当然、社員にはその義務があるので、業務命令と解されることになります。その場合は、解雇もあり得ると解されます。