Q 遅刻した労働者が残業した場合、残業手当の支給はどうなりますか。 | SUPPORT SOURCING

Q 遅刻した労働者が残業した場合、残業手当の支給はどうなりますか。

Q 遅刻した労働者が残業した場合、残業手当の支給はどうなりますか。

 例えば、9時始業、18時終業、途中1時間休憩の場合を考えてみましょう。1時間遅刻して、1時間残業したとすると、考えられる支給方法として、
1.1時間の時間給×1.25を支給する。
2.1時間の遅刻控除、1時間の時間給×1.25を支給。結局、0.25の割増分だけ支給する。
3.始業時間、終業時間が1時間ずれ込んだだけなので、特に支給しない。
が考えられます。

 1.は法令違反ではないですが、遅刻の控除がないので、一般的ではありません。2.は割増分だけ支給しますが、労働基準法の時間外労働は週40時間、1日につき8時間を超えて労働した場合を時間外労働としています。したがって、1日8時間を超えていないので割増分を支払わなくても法令違反ではありません。とすると、3.であっても法令上問題ないとなります。

 まとめると、週40時間、1日8時間を超えるかどうかが時間外労働の判別の基準となり、終業時刻を超えたかどうかは関係ないことになります。

 そこで1つ疑問が起こるのですが、例えば、半日有給休暇で午前中休んで、午後から出社した場合、終業時刻を過ぎて労働したことに対して、時間外労働の対象となるかどうか。半日有給休暇を労働時間とみなせば、1日8時間を超えたとなり、残業支給と考えられます。ポイントは半日有給休暇を労働時間とみなすかどうかですが、法令が想定しているのは、実労働と思います。したがって、労働の提供のない有給休暇は、実労働ではないので、労働時間とみなすことは不可能と考えられます。

 ところが、某労基署にこの件を問い合わせたところ、「出来る限り割増支給してください」と指導しているという回答で、非常におどろきました。1日有給休暇で休んで、終業後何らかの必要があって業務に就いた場合、そこからの労働はすべて割増支給となってしまいます。それに、労働者が意図的に半休を有給休暇で取得して、午後出勤、終業時刻超勤務を繰り返せば、相当な割増支給になってしまうことも起こりえます。

 本ページにおいては、以上のような見解を示しましたが、半日有給休暇と終業時刻超勤務の関係については、所轄労基署に問い合わせて確認をとることが必要と思います。