Q 住宅手当を廃止したいのですが、不利益変更になりますか。 | SUPPORT SOURCING

Q 住宅手当を廃止したいのですが、不利益変更になりますか。

Q 住宅手当を廃止したいのですが、不利益変更になりますか。


 住宅手当のような生活保障をカバーする属人的手当は、年功主義賃金の下では矛盾なく存在したのですが、能力主義・業績主義賃金の下では矛盾が指摘されます。つまり、賃金体系を能力・業績主義に変更したのに、属人的手当があるために賃金総額で能力の低い人のほうが高い人を上回る場合があるということです。したがって、賃金体系見直しに際しては廃止、縮小が検討されます。ただし、賃金体系に一部生活保障部分を残すという考えもあるので、賃金制度全体の改定方針を決める必要があります。

 この場合、一般的にとる方法は、住宅手当の廃止、縮小に応じた金額分を基本給またはその他の手当に吸収させる方法です。この方法なら既得権は守られ、以後入社する人について住宅手当は支給されないということになります。制度改定以後に入社する人は、制度改定以前入社の人と比べると不利になるかもしれませんが、住宅手当がないことを承知で入社するのですから何ら法的な問題は生じません。

 しかし、住宅手当の廃止、縮小に応じた金額分を実際に減額するとなると、不利益変更の問題は発生します。特に生活保障的な支給に関しては既得権が強いので、どうしても減額が必要なら、支給対象者に個別に同意をとるくらいの準備が必要です。こうした減額は、賃金体系の変更に際して生じることが多いので、その変更によって新たに従業員に発生するメリットを説明、従業員の疑問や質問に十分に聞くなど理解を得る努力をしなければなりません。また、少なくとも2年~3年の移行期間を設けて、従業員の生活に与える影響を軽減する措置が必要です。

 住宅手当に限らず、他の手当なども同様で、こうした不利益変更への対処方法は共通しています。十分な説明をしたにもかかわらず、どうしても全員の同意は得られないこともありますが、その場合は大半の同意が得られたかどうか客観的に判断して変更を実施します。