PVT絵画語彙発達検査という検査をご紹介します。
 これは、言葉の理解のレベルが何歳くらいかを調べる検査で、発語がなくても指さしができれば検査できます。
 対象年齢は3歳~12歳3か月です。
 実施時間は15分程度です。
 最新のものはPVT-Rで、Picture Vocaburary Test - Revised の頭文字をとっています。
 対象年齢も低く、実施時間も短いので、他の検査の導入として行われることが多いようです。

 このテストはどれくらいの「語彙」があるかの検査で、文章の理解や言葉による表現力は検査できません。
 4つの絵を見せながら、「~はどれですか?」と問い、正しいと思う絵を指さし、答えていきます。
 粗点と誤答数から、「語彙年齢」が換算でき、生活年齢との差を比べることができます。

 「絵」と「問い」という構成になっており、それぞれは12問と68問あり、いずれもやさしいものから難しいものへと進みます。

 「絵」の場合は・・・
 「一つのものの絵」からむずかしい「場面の絵」へと構成されています。

 [一つのものの絵」   
 ・身の回りにあって、見た事のあるものの絵から、   
 ・身の回りになくて、聞いたことがあるだろうものの絵へ
 [場面の絵]
 ・日常的な場面の絵から   
 ・非日常的な場面の絵ヘ

 「問い」の場合は・・・
 具体的なものやことを問うものから、むずかしい抽象的なものやことを問うものへと構成されています。

 [具体的なものやことを問う]
 ・かかれているものの名前を問う   
 ・かかれているものの属性を問う   
 ・かかれているものの上位、下位概念などカテゴリーを問う  
 ・かかれているものの部分を問う   
 ・かかれているものの用途、機能を問う

 [抽象的なものやことを問う]
 ・絵にかかれているものやことを問う   
 ・それぞれの関係を問う   
 ・絵には描かれていないもの、絵からイメージできるものを問う

この検査で子どもは「問われていることばの理解力」と「提示されている絵の理解力」を使い、問いに対し指さしで答えています。 

 [問われていることばの理解力]
  問われたことばから、記憶されているものをイメージする

 [提示されている絵の理解力]
  絵に表されているものから、
    上位概念、下位概念、部分名、属性、用途、機能をイメージする
  絵に表されている場面から
    場所の名前、部分の名前、原因-結果、時間と空間、時間と行動をイメージする

 子どもの「語彙年齢」がわかると、それを踏まえてコミュニケーションをすることができます。
 実年齢が高くても「語彙年齢」が低い場合は、小学校高学年でも幼稚園児に話すように丁寧にやさしい言葉を選ぶ必要があります。
 また、抽象的な言葉(「迷惑」「災害」など)は「語彙年齢」が高くないと理解できません。結果からその言葉が語彙にない場合は、適切に言い換えていきます。

 支援学校や支援学級でも、指導の方針を決める参考に実施されることがあるようです。
 ITPA検査でいう言語学習能力の受容能力や、一部の連合能力をはかることができるとのことです。
 この検査は年齢算出も難しくはないということで、検査用セットは販売されていますが検査についての書籍などは見つかりませんでした。
 初期アセスメントとしてよく利用されているようなので、発達検査をお考えの場合は選択枝のひとつになるのではと思います。


:Written by Imaoka