前記事で『ビネー式』の知能検査についてご紹介しましたので、今回は『ウェクスラー式』の知能検査をご紹介します。
 既にご存知の方はご容赦ください。また、もし内容に間違いがありましたら遠慮なくご指摘いただければありがたいと思いますのでよろしくお願いします。

 『ウェクスラー式』の知能検査は、1939年にアメリカで開発されました。開発にあたったデビッド・ウェクスラーはニューヨーク大学附属ベルビュー病院の心理学部長でしたので、この検査法は「ウェクスラー・ベルビュー知能検査」または「ウェクスラー・ベルビュー尺度」と呼ばれました。
 検査の対象は16歳以上の成人でした。
 その後ウェクスラーはこの検査法を改良し、検査対象を子どもや老人まで広げていきます。
 現在『ウェクスラー式』の検査は対象年齢によって以下の種類があります。

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 ・WPPSI(3歳10ヶ月~7歳1ヶ月 日本版 1969年)
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 ・WISC(5歳~15歳 日本版 1953年)
 ・WISC-R(6歳~16歳11ヶ月 日本版の修正版 1989年)
 ・WISC-Ⅲ(6歳~16歳11ヶ月 日本版 1998年)
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 ・WAIS(16歳~64歳 日本版 1958年)
 ・WAIS-R(16歳~74歳 日本版 1963年)
 ・WAIS-Ⅲ(16歳~89歳 日本版 2006年)
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 ちなみに、それぞれの読み方とフルネームは・・・
 WPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence ウィプシ)就学前児童が対象
 WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children ウィスク)幼児、児童が対象
 WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale ウェイス)成人が対象
 となります。
 また、「-R」より「-Ⅲ」が最新の改訂版です。

 この検査は実施時間が長く、内容も多岐に渡っています。
 WPPSI 約45分
 WISC-Ⅲ 約60~70分
 WAIS-Ⅲ 約60~95分

 『ウェクスラー式』では、
  言語性尺度で主に意識的な学習行動や記憶能力の成果として現れる『結晶性知能』を、
  動作性尺度その場その場の環境変化や問題発生に臨機応変に適用できる『流動性知能』
 測定します。

 それぞれは下記のような下位尺度で測定されます。
 [言語性尺度] 知識・数唱・単語・算数・理解・類似
 [動作性尺度] 絵画完成・絵画配列・積木模様・組み合わせ・符号・行列推理・記号探し・語音整列

 これにより「言語性IQ」「動作性IQ」「合成得点による全検査IQ」の偏差IQというものを求めます。
 結果をどのように解釈し、生活に生かしていくかは専門家を頼ることをお勧めします。


 参考にしたサイト:
  Wikipedia 知能検査
  Wikipedia ウェクスラー成人知能検査
  知能検査(知能テスト)の種類:ウェクスラー式知能検査
  ウェクスラー式知能検査
  ~アセスメント~


[追記 2012/08/15]
Facebookでコメントをいただきましたので追記します。
コメントくださいました熊上さん、ありがとうございました。

こんにちは。
WISCなんですが、昨年第4版のwisc-ⅳに切り替わっています。
実は第4版から、「動作性IQ」「言語性IQ]はなくなってしまい、「言語理解」「ワーキングメモリ」「知覚推理」「速度処理」の4指標と全検査IQを算出することになりました。
詳しくは日本版発売元の日本文化科学社のページをご覧下さい。では!
http://www.nichibun.co.jp/kobetsu/kensa/wisc4.html



:Written by Imaoka