スポーの“ここがヘンだよ闘牛士!”

十三日(土)
午前二時半に寝る。ひさびさに冷房要らず。

午前十時くらいに起きる。休日。
ややこしいクリーニングを出してから、名医に薬をもらいに行く。
買い出し。
一応、年表を整理して刷っておき、スジに自分で赤を入れておく。

十四日(日)
とんでもない鼻炎と大下痢ピー。午前一時に寝る。

午前十時半に起きる。休日。
クリーニング屋から電話。シミ抜きについて。先方との見解のちがい。僕の経験上では色落ちではなく、「取れる」と思うので、一度やってみることに。じゃなきゃ困るよ。
勉強会。動機が甘かったか……。あと、容疑者が狭い世界に集中しすぎている。そうなると、話が変わってくる。甘い甘い。まだまだ甘い。
K田サンとコーヒー、メシ。

十五日(月)
午前二時に寝る。

未明、狭心症発動で目が覚める。なんでやろな。最近多い。
午前十一時に起きる。休日。
雨。買い出し。
殊能将之『ハサミ男』を読む。
ハサミを突き立てて才色兼備の少女を次々に殺めていくハサミ男。三番目のターゲットに狙いをつけていたころ、別の誰かがその標的の少女を殺した。同じようにハサミを喉に突き立てて。誰がやったのか? ハサミ男の追及がはじまる。
印象としては力技ミステリー。性別を誤認させるトリックは、わりとよくあるなあ。しかし、何より文章が小気味いいリズムで読みやすい。
スジの直しをしなければならないので、三十分、向かう。え……どうしたもんや、これ。

十六日(火)
午前零時すぎに床につくが、なかなか寝つけず。寝たり覚めたり。

午前八時前に起きる。仕事。

頭痛。午前零時前に寝る。

十七日(水)
午前八時に起きる。これだけ寝ると、頭も身体もクリアだ。ふてくされていた貴賎スジについても、あくまで的確なアドバイスをもらったのだと、やっと思えた。
ちゃんと寝ないとなあ。不調は結局、睡眠不足から来ているのでは?
健診。仕事。
スジはあらためて、ぼんやり考えていこう。現状、作り込みすぎてイジリづらくなっているが、これはこれとして。

十八日(木)
睡眠優先で午前零時に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
……やらなどうにもならんしな。
午前零時前に寝る。

十九日(金)
午前八時前に起きる。猛暑。仕事。
いやあ……さすがにやらなあかんだろ。やらな、なんにもならん。あと一週間でスジを作り直す。そこがリミットなので、本文は当日持参スタイルでいくしかない。
なーんか、とまっちまってるな。センセに対する反感があるのかもな。まったく、だるい。

 

 

七日(日)
ひさびさに赤鼻勃発……いややなあ。
床についてから、ふと思いついた案をメモしておき、午前三時すぎに寝る。

午前十時半に起きる。休日。
スジ。昨晩の案をもとに、死体入れ替え。断然、こっちのほうがいい! 女性陣はみんな無事。わるいやつらだけが憂き目に遭っている。よしよしよし……。ラストは、僕の好きなパターンに持ち込めた。法律ではなく、正義によって人と向き合うということだ。わるくないんじゃないかなあ。
あとは時間軸の整理やな。
二日くらい前から、台所付近で動物園みたいな異臭がしていたが、ようやくその原因がわかった。玉ねぎである。この暑さで腐って汁が出ていた。そういえば、二日くらい前から一気に真夏の気候になったなあ、と。
ふたたびスジに向かう。
日付とか年代をちゃんと設定して、ととのえる。こういう整理のときには、エクセルは欠かせない。
スジと相関図を直して、刷って封じる。K田サンにも送る。なんか、いいのかわるいのか、わからなくなってきたが、今回はこれが限度だ……。

八日(月)
さて、あと一週間は自由だ。適当に庭のことでも調べながら、本読むか。
午前一時くらいに床につく。なかなか寝つけず。

午前八時前に起きる。投函。仕事。
K田サンからラインが入る。「先にいうとく。めっちゃ面白い。絶対これで行ってほしい」と。
いやあ、嬉しいな……なんせセンセに頼らず、完全な独力でつくった濃密スジである。
まったく、いい気分である。まァ、あと問題は中身なんだけどな。

九日(火)
頭痛もあり、午前零時に瞬時に寝る。

午前八時前に起きる。熟睡。よく寝たが、寝足りない。仕事。
何気に、年数の齟齬を発見。不自然に感じてたところだったので、むしろよかったが。
この貴賎にすべてを賭けるためにも、いまは溜め込んでる本を喰い散らかす。

十日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
麻見和史『石の繭 警視庁殺人分析班』を読む。
警察小説と本格推理の融合。しかしながら、作中もっとも魅力的な謎であるポンペイ展の必然性が薄く、犯人視点はそのまんま犯人として登場するので、ちょっと物足りない。

十一日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。

十二日(金)
なんやかんやで午前一時に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。

 

 

二十九日(土)
午前二時に寝る。

午前十時前に起きる。休日。
もろもろ準備をととのえてクリーニングに行くが、空振り。麻酔科。買い出し。散髪。
人物の名前を全体的に再考。相関図も画像だけは用意しておいた。
明日は慰霊を出すことをお忘れなく。

三十日(日)
午前二時すぎに寝る。

午前十時前に起きる。雨。休日。
スジをととのえる。パソコンがフリーズ。最近、多い。買い替えどきかもしれん。
それはそうと、やっぱりいまのままでは序盤が退屈なのかもしれんな……。しかし、序盤を端折って、話が通じるのか? いや、うまいことやらんとダメなんだが。いや、そこに考えが至ったのも、殺人事件、C人の不法就労助長、ヤクマルとマフィアの抗争って、担当部署が細かくちがうだろうから、ややこしいと思ったからなのだ。仮に序盤を端折ったとしても、ややこしい……。
買い出し。クリーニング……まったく、何やってんだか。
ある程度、仕事をやっておき、日付が変わる前にP賞に慰霊を出しておく。

一日(月)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
今野敏『潜入捜査』を読む。
やくざに恨みを持つ佐伯は、捜査四課に所属している。やくざに対して容赦ない仕打ちをしまくっていたことで左遷となる。出向先は環境犯罪研究所。環境問題と暴力団の仕事は密接につながっている。刑事時代のあらゆるしがらみから解放された佐伯は、やくざに弱みを握られた企業の一つに潜入捜査をかけ、実態を暴いていく。
あまりにも、軽い……。読みごたえがない。

二日(火)
序盤端折りは、いけそうな、いけなそうな……。
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
スジ。一応、つながったか。

三日(水)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
しっかし、こんな話で成り立つんだろうか。わからんので、他の本と読み比べしてみるしかない。
新しいパソコンを注文。最近、あきらかにガタが来ていたため。いま使ってるのは予備として置いておくが、さらに前の代のパソコンはいよいよ不要になったため初期化しておく。

四日(木)
午前二時前に寝る。

午前九時半に起きる。有休。
初期化した前々代のパソコンはリサイクルショップに持っていく。三百円也。
買い出し。気になる本があり、メルカリで調べ直して、お安く購入。小説でいつか使えるかもという思い。日ごろ感じたものはどんどん確保しておく。できるかどうかは別にして。途切れないように、ストックは溜めていかないと――今回、途切れたからね。
帰ってからは相関図づくり。複雑。組織のことはまだよくわからんけど。しかし、どこがつながるかがよくわかる。
スジを直していっている最中。無理スジにならないように。

五日(金)
午前零時すぎに床につくが、実際に寝入れたのは一時前後か。

午前八時に起きる。人身事故によるダイヤ乱れ。仕事。
やっぱり後半がなめらかではないかなあ……。序盤はなかなかいいのだが。
帰ったら新しいPCが届いていた。が、Wi-Fiがうまく接続できず、四苦八苦。ガチャガチャやってたら、なぜかうまくいった。

六日(土)
いや、ダメだ、やっぱりうまくいかん。日記もつけられない状態。一旦、あきらめよう。明日はJ:COMに電話するしかないか……。
午前一時半すぎに寝る。

午前八時半すぎに起きる。休日。
パソコンをつけてみると、Wi-Fiがつながっていた。よくわからん。いろいろ設定。
買い出し。
帰ってくると、Wi-Fiはつながっていなかった。いい加減、J:COMに電話。なんだか頼りないし、半信半疑だったが、一応いわれたとおりのことをやってみたら、直った。まさかである。原因としては……Wi-Fi混線ってところか。一本化したのだ。Wi-Fiは多けりゃ多いほうがいいと思っていたが、素人考えだったんですね。
スジ。マフィアを出す必要はないかと思ったが、ヤクマルがマフィアに押され気味なところを描くにはちょうどいいから変えず。
しかしながら、このままでは、まだ足りないよな……。
もう一転させないといけない気がする。
で、冒頭シーンの対象がじつは別の人物だった、というまさかのオチを思いつくが、しかしなあ、しかし、これでは後味があまりにもわるくないか。読後感は絶対、爽快なほうがいい。
期限は明日かな……。

 

 

 

二十二日(土)
午前二時すぎに寝る。

午前九時に起きる。水回りの点検。
さっと買い出し、クリーニング。
人生初の野球観戦。雨には降られたものの、わりと楽しめた。

二十三日(日)
スジは後半をあらためて進める。
午前三時すぎに寝る。

午前十時すぎに起きる。雨。休日。
やはり寝る時間がこれだと後悔する。身体の節々が痛む。買い出し。
藤原伊織『雪が降る』を読む。
短編集。どれをとっても一級品。底にあるのは、やはりどれもサスペンスであろう。人の感情を揺さぶることにかけては一流。怒り、恐怖、情欲、プライドといった原始的感情をくすぐり、その土壌でミステリーに仕上げて、人が没入するドラマを創り上げている。

二十四日(月)
細部をつめながら、進める。うーん……。
午前一時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。小雨。仕事。
アリバイをずっと考える。いやはや……。
C人を出すなら、最後につなげたいのだが……。

二十五日(火)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
C人を絡めて、わりといい感じにできたんじゃないか……と思ったが、さすがに社用車使うのは無理があるだろ……。

二十六日(水)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
まァしかし、N本には疑いはかかっていなかったのだから、社用車トリックは後出しにして乗り切るかと。

二十七日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
四課なのだから、乱闘は必須だ。つまり抗争だ。まったく予定していなかった華僑が出てくる流れなので、調べないといけない。ラストを残し、おおよそ流れはできてきたか?

二十八日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
とりあえず……最後までスジを書き切る。いやあ、もはや、いいかわるいかなんて、わからんな。

でも、初期のころを思い出すと、断然いいスジは書けている。

勉強会まで二週間。つまり送付期限は、あと一週間。何ができるか。

 

 

十五日(土)
ああ、やっぱり、つまんねえ……。初心に帰り、説明や心理描写をなしにした、視点がかわるがわるなんていう高等テクニックも排した、現状ではよくわからんバビロンも抜きにした、枚数もあくまで二百を目標にしたものをやろうと思った。じゃなきゃ、進まん。なんでもいい。いまは、これをやりきろう……。
午前二時に寝る。

午前十時前に起きる。休日。
猫を動物病院へ。二度目の関節症治療の注射をいただく。定期的に通うことになるんだろうな。まァ仕方ない。
買い出し。タイワンタケクマバチの救出。
千田理緒『五色の殺人者』を読む。
高齢者介護施設で起こった殺人。施設利用者五名の目撃証言は、それぞれ異なった色の服を着ていたというもの。高齢者特有の色の誤認、方言などによるトリック。さらに目星をつけていた真犯人が別人だったというところは苗字による思い込みを利用している。無理なくまとまっているし、まぎれもなく本格ミステリーだ。ちょっとした恋愛要素も絡めながら、話の展開は全体的にとてもスムーズ。

十六日(日)
書く……が、ダメだ。つまらんつまらん。心の底からつまらん。面白くなきゃダメだろ。当たり前のことだ。自分が面白いと思えないものを書く意味なんてなんにもない。まずはそこだろうに。もう一度、イチから、スジから練り直すべきだ。
午前二時すぎに寝る。

午前十時半に起きる。休日。
愚妹親子、愚弟夫婦と子がやってきて、てんやわんや。
貴賎のスジは最初から考え直している。自分が楽しんでいるかどうかが唯一の基準。バビロンは乗りかかった船だから出したいし、この仕事のことも仕方ないので出したい。条件はそれだけ。

十七日(月)
床についたのは午前零時半。暑いのもあり、数時間後に目覚めて、なかなか寝つけず。延々と貴賎の想像をする。できなくはないと。

午前八時前に起きる。仕事。
日中、スジは案を出していく。

十八日(火)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。大雨。仕事。
ずっとスジを考えている。あれやこれやと書く。全然まとまらないし、めどが立ったわけではないが、ようやく時間を忘れてやり出している。

十九日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
世の中の事件を調べて、序盤の流れを無理くりつくる。なんとか、つながったか……。

二十日(木)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
スジは進めている。が、どうも直線的すぎるし、やはりトリックと意外性が必要だ。いや、まあ、トリックってのがすなわち〝意外性〟のことなんだが。つまり予想できてはいけない。ふと、『その女アレックス』を思い出す。

二十一日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
トリックは無理くり捻出してみる。はじめてだな、こんなの考えたのは。新鮮。そうした上で、最後のほうまで書いてみる。全体を見渡してみると、前半のスピード感はよさそうだが、後半が駆け足になっている。練り直しだな。

 

 

八日(土)
午前二時すぎに寝る。

午前十時に起きる。休日。
循環器内科。ここしばらくあった胃痛について訴える。触診もあったが、強く押さえても何も痛くない。苦笑される。ハッキリいって、なんともないだろう、と。考えられる原因はストレス。ああ、やっぱり小説だ。それ以外にない。
買い出し。
机でスジと向き合う。停滞していると感じるとき、エンジンがかかるまでは、机に向かうのは義務だなあ……。

九日(日)
午前二時すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。小雨。
買い出し。
ヴァン・ダイン『ケンネル殺人事件』を読む。
中国陶器収集家のアーチャー・コーが自宅で死んでいた。内側から鍵をした密室で、直接の死因は背中の刺傷によるが、なぜか彼は手に拳銃を握っており、こめかみに弾痕があった。さらに彼の弟のブリスベーンの死体までもが階下で発見される。そして、ブリスベーンの死体のある図書室のカーテンの陰には、怪我を負ったスコッチテリアまでもがうずくまっていた。コー家は犬は飼っていない。この犬はなんなのか? 密室殺人の謎は? おなじみの名探偵・ヴァンスが事件究明に乗り出す。
いやいや……だから、めちゃくちゃ面白い。複雑なプロットである。ヴァン・ダイン自身が凄まじい労働だといっていたとおり、このストーリーを練るには相当な苦心惨憺を要しただろう。そして、なぜヴァン・ダイン作品がこんなにも面白いのか、引っ張られるように読めてしまうのかに気づく。つまり、心理描写や説明文がほぼないのだ。ほぼセリフで回している。情景描写も最小限。しかし、行動描写と外面描写はそつがない。無駄が多いようで、無駄がない。
向き合う。まず、どうにかして、容疑者が限定されるシチュエーションをつくらないといけないよね。これはすべての推理小説に必要な土台つくりなのだろう。

十日(月)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
もう止まってばかりなので、いまのかたちで二百枚目標にやってみるか……と考えていたら、夜、センセから電話が入る。勉強会の日取りについてだった。書けてるか、と訊かれ、現状を伝えると、推理モンをやれ、という。いくつかヒントをもらう。はてさて……。
いやでも、たしかに、いきなり事件を起こそうとするから、準備がなく、二の足を踏んでいたのだ。あえてスロースタートで視点を変えつつ進めていくのは面白いかも。相手の社長が死ぬまでの流れは、ある程度はできている。ほんの少し……活路が見えた。

十一日(火)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
第一部はまァいいとして、第二部は捜査。なんとなく構想を練りはじめる。

十二日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。もう真夏だな。仕事。

十三日(木)
午前二時に寝る。

午前九時半に起きる。有休。
名医まで薬だけもらいに行く。買い出し。
まァ、ただ書くしかねえわな。昨日できなかったぶんも、今日はやろう、と。
この半年、一月はモラをやっていたからよしとする。S書の地元賞向けに掌編も二つ、なんとかあきらめずにやれたから、それもよしだ。あとの三ヶ月くらいは空白……ここを挽回しないと。
ビン氏がバビロンものの良さを説いている記事を見つけた。センセもいっていたが、ミステリなら何を書こうにも、絶対に避けては通れないところだ。ちょっとこれから、日常的に吸収していく必要がある。ということで、さっそく関連書籍を大量に古本で注文。
貴賎を書く。まァ、あとから直せるところは無視して突き進む。
次の勉強会は一週間延期になったので、三週間ある。めちゃくちゃ書いて持っていきたいところだな。
猫にまた跛行の症状が出てきたようだ。猫を風呂に入れる。

十四日(金)
午前零時半すぎに床につくが、暑すぎてなかなか寝つけず。ついにクーラー起動。

午前八時前に起きる。仕事。
とにかく書くぞ。ラジオ体操と同じで、習慣にしないとね。たぶん、前にもいったけど。

 

 

一日(土)
午前三時前に寝る。

午前十時半に起きる。休日。買い出し。
桜、三行半、貴賎を読み直す。ほう。全部、わるないやん。

二日(日)
午前二時半くらいに寝る。

午前十時半に起きる。休日。
勉強会。思いのほか、三行半小説は手放しで褒められたが、桜小説は辛い意見。貴賎小説に関してはほぼ苦言。やれやれ。というか、桜に関してはセンセは完全に読み違ってたし……。
しかし、午後七時までの会のあいだ、ほとんどがセンセ自身の話だった。なんだかなあ。
まァ、とりあえず、説明がダルいってことだろう。だったら説明なしでやってやろう。
僕はいつも掌編を褒められる。こんな感じで長編も書けないか、と。とことん直して、無駄を一切、削ぎ落としているからだ。だったら短文短文だ。徹底的に削いでやる。畜生。
帰宅後、もう送っておく。S書の地元賞宛てに桜と三行半、S江に雪。あとは貴賎をチャチャっと書いて、そのあとは推理モンを書こう。

三日(月)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
貴賎の出だしを少し書きはじめる。必要最小限の文章。多少、わかりづらくてもいい。
頭痛もあって、午前零時前に寝る。

四日(火)
午前八時前に起きる。やっぱり睡眠は大事だな。スッキリする。仕事。
ふと、あと四ヶ月あるしな、と思う。
それに比べて貴賎は……一年? もはや、貴賎は後回しでもいいくらいだぞ。
というか、貴賎を推理モンの長編にできれば一挙解決なのだが。
他にもいろいろ設定を考えてみる。考えようによっちゃ、いろいろあるよなあ。要は、自分が面白く感じるかどうかだ。
阿部牧郎『それぞれの終楽章』を読む。
五十歳になった矢部がかつての親友の死を聞いて、故郷に帰ってくる。親友の死の真相を知ろうとするが、恥を撒き散らした矢部の青春時代も同時に思い起こされる。そして、酒に溺れて転落した父とすごした時間も追想される。なんとも退屈だったが、読み終えたときには傑作であった。

五日(水)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
とにかく、センセはアテにしていられない。いないものと考えないと。桜も、三行半も、結局は自分を信じて出した。なら、貴賎もそうでなければならない。
スジに取り組もうとする。いやいや、チンタラしてられないぞ。

六日(木)
午前零時すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
……。

七日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時に起きる。仕事。
体調もわるいし、いったん休憩……と思ったけど、逆だろう。
なんだって書きようだ。ただ純粋に、自由に。客は自分である。

 

 

二十五日(土)
午前二時半すぎに寝る。

午前九時すぎに起きる。休日。
麻酔科でトリガー。買い出し。入金。
マクドを喰う。ふと、『スーパーサイズミー』というドキュメンタリーのことを思い出し、なんとなく調べてみると、これの監督が二日前に亡くなっていた。合掌。
歯医者。詰め物。
桜と三行半をなおも直し、もうさすがに、これでいいだろうと。短かったら、これくらい徹底してやれるんだけどな。いや、長くても徹底してやれということなんだけども。
次は貴賎。スジがあやふやだったところや名前なども直す。こいつは明日に持ち越しだ。

二十六日(日)
午前一時半に寝る。

午前十時に起きる。休日。
買い出し。
一つの法則……何に恐怖を感じるか。
貴賎。全登場人物の出てくる、キリのいいところまで書く。
貴賎、桜、三行半を刷って封じる。
はてさて、明日からの一週間、何をしようか。大昔のチンチロ小説のラストを考えようと思っていたけど、読み返すと、これはちょっと……そもそもがあんまりだ。やっぱり別のことをしたい。
貴賎は置いとくとして、やはり、次にやるべきは長編のスジかなあ。
モラありきの続編を考えるのは、なんともいえぬところだよな。モラがモノにならなきゃ、意味をなさないからだ。いや、少なくとも意味はあるけど、それだったら、まったく新しいストーリーを考えたほうがいいだろう。

二十七日(月)
午前零時すぎに寝る。が、寝苦しくて、何度も目覚める夜だった。暑いのに敷き毛布をいまだに敷いているせいだが。

午前八時前に起きる。雨。仕事。

二十八日(火)
毛布はしまって、午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。大雨。
電車の運転見合わせの情報が入る。こりゃテレワークかなと思ってチンタラしてたら、電車復旧。仕方なく遅れて行く。仕事。

二十九日(水)
寒の戻り。午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。ええ天気。仕事。
浅沢英『贋品』を読む。
佐村は事業に失敗して落ちぶれた生活を送っていた。そこへ、画商だった亡き父と昵懇の仲だった元画家の山井が、儲け話を持ってくる。ピカソの贋作をつくって、中国のメガコレクター相手に四十億以上の値段で売りつけるという。真作は新興宗教の教団施設にある。新興宗教信者、修復工房の女などを仲間に、真作を奪い、データを吸い取り、贋作をつくるという段取りだったが……最初に佐村に課せられたのは莫大な道具代のための借金だった。ハメられているのではないか。佐村は疑心暗鬼になりながらも、いつしかその計画から抜け出せなくなる。
話はかなりバタバタするが、やはりこの作者の執拗で恐ろしい敵の描き方は見事だし、ラストは味がある。終わりよければ、すべてよし。……しかし、誤字脱字は多いので、出版社には修正を求む。

三十日(木)
午前一時前に寝る。
が、夜中、異常な目の痒みで起きる。アイボンとアルガードとホットアイマスク。

午前八時に起きる。仕事。

三十一日(金)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時に起きる。小雨。仕事。
やはり一年にひとつは博奕モノをやらねばならぬだろう……とは思うけど、そんな決まりはどこにもないとも思う。

 

 

十八日(土)
貴賎小説のスジはだいたい組めたかな。かなり大味ではあるけど、アウトラインはおおよそ。あとは書きながら考えるか。
午前一時半に寝る。

午前十時半に起きる。休日。
なんかごちゃごちゃ書いたけど、普通にやりゃいい。生きるのも普通。書くのも普通。特別なことじゃなく、気負わず、普通に。何より、あれこれ考えすぎなのだ。
買い出し。
S書の地元の賞のことが頭から離れず、過去の人間競馬小説をせっせと直していたが、よくよく見たら規定違反だった。なんじゃそりゃ。さて、どうするか。
どうせ地方なんだから、そんなことに時間割かなくていいだろ……と思おうにも、それは〝逃げ〟でしかないことはわかっていたので、やる。以前思いついて、書こうかなとぼんやり考えていた桜小説。あっという間に書き終えて、枚数調整。
たったの三枚。それでも、ついに新作を書いたという事実は、激しく脳みそを活性化させた。

十九日(日)
午前二時半すぎに寝る。

午前十時くらいに起きる。雨。休日。
とりあえず、いつものようにサイトに原稿を上げる。しかし、そろそろこの作業には飽きている。
明日からは貴賎小説に取りかからねばならぬので、今日のうちに何かまた別の三枚を書きたいところだった。
桜庭一樹『私の男』を読む。
勤め先の男と結婚することが決まった花。彼女は十年以上前、震災孤児となったときに親戚の淳吾という男に引き取られ、以来ずっと一緒に暮らしている。二人は押し入れの奥から異臭のただようアパートの一室で、結婚前夜のいまでも身体を重ね合わせている。二人を結びつけるものは何か。二人の抱える秘密とは何なのか。
なかなか読ませるが、真相がほとんど読めてしまう中盤以降は、興味が失われてきつつあった。あと、びっくりするほど、読後に何も残らない。
桜小説の直しをするにとどまる一日だった。しかし、もうこれはセンセ宛てに送れる状態にはなっただろう。できれば、もう一作と思っていたけど、まァそれは追い追いでいいか。

二十日(月)
ふと、思いついて、三行半小説を書きはじめたけど、こりゃさすがに倫理的にアウトか? ストックかな。
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。歯の詰め物が取れて、右下奥歯の手前の歯に穴があく。ちょっとシミる。
K田サンはやはり次回は欠席の模様。
貴賎小説を書きはじめる。じわじわと。序盤が一番難しいなんてよくいうが、やっぱり何も考えずに書くと、のっけにダラダラと情報を書きすぎる。サイトや仕事の説明は最小限に抑えるべきだろう。なんとなく雰囲気だけ伝われば……。麻雀と同じである。

二十一日(火)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
書き進めている。

二十二日(水)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
ちょこちょこ貴賎は書き進める。帰ってからは桜小説の直し。もう直すところはなくなったか。

二十三日(木)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
ストックかな、と思っていた三行半小説をやっぱり最後まで書く。直して三枚におさめる。なかなかわるくないなあ。そういえば、どこぞの大家は「……は、男女のことを書くものだ……」といっていたけれど。勝負ごとにこだわる必要はやっぱりないなあと思わされる。
無駄を徹底的に削った上で、自然なリズムを意識しているのがいいのかもしれない。(藤原伊織の影響はおおいに受けている……いや、阿部牧郎か?)

貴賎にも活かしたいところだ。

二十四日(金)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
つまらず読める、ストレスフリーな文体をめざし、貴賎は最初から見直し、書き直す。普通が素敵。
帰ってからは三行半をきっちりと直す。完成か。
この土日で貴賎はできるところまでやって、桜と三行半も合わせてセンセに送るつもり。

 

 

十一日(土)
午前一時半に寝る。

午前九時に起きる。休日。
KMS用にモラを刷る。もう予定は変わらないのだから、今日のうちに出しておこうと思い。タイトルをどうしようかと思って作中の曲名にしかけたけど、どうもしっくりこない。試しにGODに関連づけたタイトルにしてみたら、この上なく腑に落ちた。若干すっとぼけた感じも、モラの雰囲気に合っている。
投函。いままでタイトルが浮いてたけど、しっくりくる題にして、やっと完成したような気分。まァ、どうなるかは知らんが、頑張ってきてもらおう。
しかし、まァ普通に考えて、使い回しで受かるわけねえわな。最終まで残ったとかならともかく。可能性があるとしたら、KMくらいだ。それよりも、新しくやらないと。OH第一回受賞者の新作を立ち読みしたが、やっぱり暗いよな。じっとりしている。いまの時代、気忙しい小説はダメだ。
散髪、買い出し。
Yなる人物と話す。いやはや……本人は何もわるくない。なのに、どうにもならない。どうしようもない、家族ってやつは。本当に気の毒だが、距離を置くことに決めた。

十二日(日)
スジと格闘。いつまで経っても、このままじゃラチがあかんし、進まんぞと。机に向かって、ジャズ流し、ボーッと考える。それだけ。すると、少し話が進んだ。だから、なんべんもいうように、天啓待ってても仕方ないのだ。何度でもいう。机に向かう。ジャズ流す。ボーッと考える。それだけ。
ある程度、土台が固まってるとか、書き進められる段階まで来たら、スマホでいいのよ。あとは書くだけなんだから。まだゼロの段階、手探り状態のときは、机に向かうしかない。これ、忘れないようにしたいなあ……。
あとは、読書はディグね。これも創作術として必要不可欠。
午前三時に寝る。

午前十時半に起きる。休日。雨。
愚妹親子がやってくる。ずっと姪のままごとの相手。
TN賞の存在を知る、というか思い出す。中野小説がちょうどそのままうってつけだと思い立ち、さっそく調整作業。〆切はまだ先だけど、ちゃんと準備しておく。
直しをやってるだけじゃダメなので、新作のスジにも、少しでもいいから向き合う。ここからどうするか……活路はどこかにありそうなのだが。

十三日(月)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。雨。仕事。
本当に気の毒だ……と憐憫の情を抱いていたが、一転、女の怖さを知る。最後の最後で本性を見せやがった。
スジと向き合う。あー、つまんねえなあ……。最後にどうにかドンデンをつけるしかない。

十四日(火)
午前零時半に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
ちゃんとドンデンを考えて、きっちり組み立てることを意識。流れとしてはおおかた、できてきた。最後のほうをどうまとめるか……。
つまらんつまらんと途方に暮れていたけど、ちゃんと毎日向き合っているうちに、わりとつまるように考えられてきた。つまり、そういうものなんだな。そういうふうにできてる。

十五日(水)
午前零時半すぎに寝る。

午前八時に起きる。仕事。
M屋の余興みたいな賞に出す小文をしたため、ハガキをつくる。
やっぱり慰霊はA県の賞ではなく、P賞に出してみようかと、ふと思う。仮にA県の賞でどうにかなっても、極論、仕方ないし。今年はP賞でいいでしょう。

十六日(木)
スジはラストをどうするか。こねくり回している。いや、そのフリをしている……。
午前二時に寝る。

午前九時に起きる。有休。
栗山良八郎『とぉない男』を読む。
人材派遣のパソナ創業者をモデルにした小説。しかし、この創業者の父親のエピソードが何より面白かった。血筋なんだろうね。
猛烈な強風の中、名医まで薬をもらいに行く。買い出し。ハガキ投函。
――なんだかここ最近、すごく体調がわるい。

いまにもまたぶり返しそうな狭心症もそうだし、なぜか胃腸もチクチクと痛む。そういえばこの不調って、モラ脱稿後、ロクに書かなくなってからじゃないか?

絶対、そうだと確信。書くことは救いになる。絶対に。
過去作にすがってるのって、後ろ向きで、すごく不安だよな。その点、新作を書いているときって夢と希望にあふれている。そういうことだよ。焼き直しって、結局いいことないんだよ。やろうよ、新作。どんどん。全然書けなくても、書く。才能なんてこれっぽっちもなくても、書く。もう書け。死んで書け、文字どおり。
そう決めたとたん――胸が空く思いだった。ああ、単純だね。単細胞だ。いや、人ってそんなもんだ。

人によって生きる目的はちがう。生き方はちがう。それを自覚しないとね。

十七日(金)
ラストもちょっとは活路が見えてきたか。午前一時に寝る。

午前八時前に起きる。仕事。
健康のために毎日書く。ラジオ体操のように……。
ラストが次第にかたちになってきた。この週末でスジは固めて、来週一週間で本文をできるだけやるか。
とまァ、そんな感じで、普通にやりゃァいい。