実現すべき膨張する幸せ | 心模様とガラス玉演戯(役立つ心理ポイント)

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交流分析やサイコドラマ・心理学について書いています。また、好きな本の引用など。

守るべきものだったはずの「ささやかな幸せ」は「利益」と「権利」に変容することでいくらでも膨らませることができるようになったのです。
(略)
ところが「実現すべき膨張する幸せ」になると、「幸せ」はいまここにはない。「幸せ」は勝ち取るものであり、その果てにいつかやがて実現すべきものでなのです。「幸せ」は今ここにある守るべきささやかな生活、といったものではないのです。

この態度変容は大きい。現代人にとっては、「幸せ」はいまここにはないのです。だから、言い換えれば、いま現在は「不幸」なのです。このままでは「不幸」なままなのです。境遇を変えなければ「不幸」が続くわけで、これはつらい。そこで常に「幸福を追求」して動き回らなければ不幸のままなのです。

(「反・幸福論」佐伯啓思)

この本はまだ読み始めたばかりなので、これからどのように論を展開していくのか楽しみです。最近は本を読むスピードが落ちたので時間は掛かりそうです。

さて、抽象的な論ではなく現実的な生活者として、もちろん「利益」「権利」を追求する面があることは否めません。学校で勉強して良い成績を取ることで選択の幅が増えます。会社で利益を得るように働くことは、自分の地位や収益に関わります。

けれども、その中には「守るべきもの」も含まれています。良い成績を取ることで自分が学びたい分野を「守る」ことが容易になります。地位や収益を上げることで家族を「守る」という目的も含まれるでしょう。

多くの人は、そのバランスを取りながら現実社会のなかで生きているのだと思います。逆に上記のように、「守るべきもの」を忘れ、「権利」「利益」のみを目的とした幸せを求めることは、著しくバランスを欠いた状態と言えます。

ふと「守るべきもの」を思い出して、今の自分の行為を正当化するのもバランスを欠いている。「いつかは」という漠然としたもののため、生活をないがしろにしている可能性がありますから。

交流分析では、こういった状態を引き起こす「ドライバー」という用語があります。前回の記事で書いた「禁止令」のように、自分を縛るものです。

1.完全であれ(Be Perfect)

2.急げ(Hurry Up)

3.努力せよ(Try Hard)

4.喜ばせよ(Please Me)

5.強くあれ(Be Strong)


これらが、心に響いていると、常に今は不完全で不幸せです。
幸せに向けて、常に自分ではない、今ではない何かに向かって駆り立てられてしまいます。

「今ある幸せ」や「守るべき幸せ」や喜びを感じること、見出すことはことはできると思うのです。その上で、目標を持ったり、改善することがいいのではないでしょうか。

ドライバーについては下記にリンクを張っておきますので、興味のある方はご参照下さい。

1.完全であれ(Be Perfect)

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