スピカの住み家

スピカの住み家

気まぐれで更新します

今回は円ドルマンとは違った観点から投資の注意喚起を書きます。実体験です。もーしかしたら大昔に書いているかもしれません(記憶にズレがあるかも)。自分史の中でも事件簿の部類に入りますし、もしかしたらそれが投資に詳しくなったきっかけかもしれません。


大学1か2年生の頃だったと思います。ある日突然ケータイに電話が掛かってきました。それは小・中学生時代の友人でした。


しばらく疎遠だったのですが、元々仲良かったこともあり久しぶりに会うことになりました。当時から友人はグイグイくるタイプの男でしたがそれにしても垢抜けてチャラく押し迫ってきたのを覚えています。


待ち合わせは新宿でした。田舎者同士が都会で会うのには感慨深いものがあります。。へへん、こっちも都内の高校大学通ってたんだお前よりシティ派だぜとニヤニヤしていると、友人の見なりがいかにも胡散臭そうなものだったのです。色黒でサングラスを頭にかけて……腕時計もしてたかなあ。


そして友人が指定した某大手喫茶店に入りました。二人しかいないのに四人テーブル。どっかりと座った友人は、ある話を切り出してきたのです。


ーー金持ちにならないかーー


……!?


そりゃ金持ちにはなりたい。困惑していると資料を出されました。これこれこういうのがあるぞと。内容はよくわからなかったのですが、いわゆるそれがねずみ講だということは瞬時に判断できました。あーこいつやったんだなと。こんな話本当にあるんだなと。


呆れ笑いするのを堪えながら、話を聞いていたところ、どうも友人には立派な投資の先生がいるようで、その先生の話に従ってトレードすれば絶対儲かると。だから仲間にならないかと。そのためにはこの教材を50万円で買う必要があると。


お前買ったんかと尋ねたところ、買ったと。


あちゃーお前確かにバカだったけどそれでもN大だろ頭タックル脳かよと心の中で思い……友人の語りは止まりません。


友人によれば、いまの日本の社会では普通に就職して金持ちになるのは不可能だと。自分の大学レベルで就職しても大して稼げないと、そんな劣等感があったようなのです。私も大学を聞かれました。で、同士扱いをされたような気がしまして。


ここから私は態度を変えました。徐々に憐れみから怒りに変わってきたのです。わかる。たしかに私のレベルの大学じゃ超大手は難しいよ。でもだからといってそんなのに私が賛同すると思うのかと。そこまで舐められてるのかと。よっしゃと奮い立たせ、徹底攻撃モードになりました。


まず50万円はどうやって払ったんだ。


消費者金融から借りた。


親は知っているのか。


知らない。


実はその友人とは母親同士が仲良かったんです。その関係は今もずーっと続いておりまして、凄まじいとくダネを拾ったと思い、告げ口してやろうと思いました。というよりそうでもして止めさせないとダメだと。


50万円払っていまどのくらい経つんだ、儲かっているのか。


まだ赤字。でもこれから儲かる。最初は失敗するものだから。


???


どれどれと資料をしっかり見るようにしました。内容はざっくり書けば、相場が上がるか下がるかを予想して賭けるといったものでした。先生の理論に従ってトレードすれば勝てると。すでに投資の知識は浅くあったので、それがバイナリーオプション(通称BO)である可能性が高いとも把握しました。


こんなの毎回成功すると思ってるのか。


できる。


じゃあなんで最初負けてるんだ。


最初はしょうがないから。


すると、この辺りからですかね、突然の来客です。友人の隣に、スーツを着た男が座ったのでした。出た出た、キャッチセールスでもお馴染みの手口。実際にリアルであるものだとは。大の大人ふたりに言い寄られたら落ちる。そういうことです。1vs2の圧迫面接が始まろうとしていました。


心に両津勘吉を飼っている私は、その男にも論破してやろうとドラマさながらの熱いモードに入りまして、ちょっと内容は覚えていませんが相手の主張を捻じ曲げて黙らせました。根本のおかしな部分を口撃しちゃえばぐうの音も出ません。そして友人に、親に言うぞと宣言。すると友人はそれだけはやめてくれと。


なぜ隠すのか。堂々としていいことじゃないことはわかっているんだなと。そんなのに俺を誘ったんだなと。同級生達に言いふらすぞ、これ以上被害者を出さないためにと。お前のしていることは詐欺だぞと(これは厳密には何とも言えないらしいです)。


店内に響き渡るような大声で怒りまくしたてたので、恐らく周りの客も聞いていたでしょうね。ねずみ講に対して全力でぶつかっている熱い奴をどう見ていたのでしょう。友人は泣き出してしまいました。隣の男も、心が傷んだかもしれません。そしてひと通り怒りを爆発させてから私は誘いを拒否し、店をあとにしました。


友人は優しい子でした。そういうのに手を染めるタイプかといえば、間違いなく騙す側でなく騙される側でした。将来に不安を抱えていたのは事実だったのでしょう。N大はマンモス校でもあるので、そういうのを誘いやすい場があるのかもしれないです。それでついひかれてしまい、引き返せなくなってしまう。目の前の50万の損失を取り返すために。


それからというもの、友人とは絶縁。周りの友人グループにもそいつとは関わるなと全貌を明かしまして、武士の情けで母親にはバラしませんでした。

いまではたまに友人グループ内でそいつのfacebookを見ては胡散臭そうな見た目を笑っています(多分そのまま突っ走っちゃいましたね彼は)。


こういうケースに引っかかってしまうのは老人ではなく若者です。信じられない話ですが本当にそういうのに真正面から捉えてしまう人もいるんです。断言しますが絶対に勝つ投資の話というのは存在しません。将棋と同じです。もし住所や名前を書かされそうになったら架空のを書いときましょう。


そしてねずみ講に加入してしまった人とは絶対に縁を切るのが正解です。どんなに仲良かったとしてもですね。


余談ですが、私の友人グループ内で最も頭の弱い子も秋葉原で絵画を無理矢理買わされていました。何万もするやつを。その店は噂によればまだあるとか。この世は悪い人間ばかりです。助けて円ドルマーン!