事業再建、経営再建を任されたら
失われた20年が30年と言われて日本は長期デフレでなかなか新進気鋭の企業が現れない。トヨタ、ホンダ、ソニー、パナソニック皆元はベンチャーです。そう思うと1960年代の高度成長期はさぞかし高揚感があったのでしょう。右肩上がりの成長は七難隠すというから前向きな仕事が中心で少々の問題事業も何とかなっていた気がします。個人生活は仕事一辺倒だったのは間違いないと思いますが、何だか羨ましい気がします。一方、現代はうまく行かない企業が多く、特に中小企業は大変で、どうやって課題事業を成長軌道に再建するかという話が基本必ずあると言っても過言ではありません。世のリーダー達も多くが再建に携わっていると思います。 赤字を黒字に、終息の流れを持続可能に、過剰人員を適正人員に、等々再建はどういう手順でやるべきか、経験則の範囲ですが参考にして頂ければと思います。【1】事業の総括をしてみる 一言で言うと「今の健康状態は?」黒字なの赤字なの、改善中か現状維持か悪化中か、経営全体に与えるインパクトは、などであります。また「何でこうなったのか?」新製品が当たらず、競合他社に追い抜かれて、市場の潮目が変わった、など必ず原因があるはずです。同じ「発熱」でも、「疲れ」からなのか、「食当たり」なのか、「薬害」なのか、ただ解熱剤という対症療法ではその場凌ぎに終わりその後の再発もあり得ます。原因を突き止めて、それを根治するための方法を見つけるための「診察、問診」がこれに当たります。最低でも完治の見込みのない難病なのか、治療で日常生活に戻れるレベルなのかの判断がまず必要です。販売・利益推移、商材・サービスの競争力、市場での競合状態、事業継続に必要なコスト(人員、事務所等)の分析作業になります。【2】再建に向けたプランニング 再建がやれると判断したら「処方箋づくり」となります。病気の原因となっている事象に対して具体的な手術や投薬行いますが、処方箋なので具体的な内容が必要です。商材の強化であれば、新機能開発、仕入れ先の変更によるコストダウンなど、販路再編であれば新販路の提案、集中と選択による取引の見直し等が必要でしょう。利益確保のための事業のダウンサイズも選択肢として出てくるでしょう。ここで大事なのは、目標値(定量的なもの)と目標達成時期を明確にすること。またそのためにどれだけ会社の経営資源を充てるのかも必要となります。オーナー企業であればオーナーの合意、一般企業であれば取締役のコンセンサスが必要となると思います。【3】トライアンドエラー 再建の処方箋を作って実行したからと言って必ずしも成功するとは限りません。課題ビジネスの再建は厳しいものです。定期的に進捗確認をして、結果が伴っていれば加速して成果を求める事になります。もし思わしくない結果であれば、傷口が広がらない内に、また【1】の診断プロセスに戻り【2】のプランニングをやり直して再挑戦です。何度も失敗を繰り返しながらも成功に近づいていく粘り強い取り組みが必要です。一度決裁して決断したことを変えない頑固さと、臨機応変に間違いを認め変化に対応していく柔軟さが求められる最重要プロセスです。【4】再建の目処と後継人材 七転八起で何とか再建の目処がつけば、安定軌道に乗せるべくこの先5年なのか10年なのかある程度のスパンで事業継続を託せるリーダーを任命、いなければ育成しましょう。再建チームの中から選出するのもありと思いますが、年齢的な問題があるケースも多々あると思われますので、外から引っ張って来ることも視野に入れて「後継人材の育成」に目処をつける必要があります。継続性の点でこれは重要です。【5】撤退の決断 事業再建はうまく行かない場合がかなりの確率で起こり得ると思います。プランBは必要です。事業の自主終息はできるだけ避けたいところです。事業売却、事業譲渡の可能性を探ることも重要かと思います。この場合は役者が違うので担当チームの交代も必要になります。また事業内容に拠っては、自社運営ではダメだけれども独立運営ならやれそうと言うことでMBO(自社経営者への売却)も選択肢の一つとしてあると思います。それを決断するためにも、プランニング時の「目標値と目標達成時期の設定」がやはり重要になります。【6】自主終息の場合 再建を断念し事業売却も譲渡もMBOも成立しない場合は、事業終息を自ら行う事になります。製品の販売終了後の保守業務の継続、提供サービス期間中のサポート等、販売をやめても事後処理が残ります。第三者に委託してしまうことも考えられますが、社会的責任が発生する場合もあるので慎重に検討しましょう。 事業や経営再建は、新規の発足よりも多くの時間、労力、気力が必要とされます。特にメンタルな負担が大きいので、経験がものを言うと思います。大企業だとV字回復とかを強く求められのでしょうけど、中小企業だとむしろ完全回復よりも、現状維持か少しの挽回をすれば、後はゆっくりオクリビトになって終息させるケースも多いのかと思います。 再建のプロは最初の「診断」でその道程をしっかり見定めるそんな能力が求められるのだと思います。