日本の国鳥は「鶴(ツル)」だと思った方、
日本の国鳥は正式に「キジ(雉)」であり、「鶴(ツル)」が国鳥ではありません。
もしかしたら鶴と思って誤解されている方も多いのでは。
仮にそうだとして、この誤解が生まれやすい背景にはいくつかの要因があります。
まず、鶴の象徴的なイメージが大きな要因です。
鶴は日本文化において非常に重要な存在で、長寿や幸福の象徴とされています。
たとえば、「鶴は千年、亀は万年」ということわざがあり、鶴は縁起の良い鳥とされています。
また、鶴は結婚式や正月などの祝い事でよく使われる図柄であり、祝いの場面でも多く登場します。
そのため、鶴が日本の象徴的な鳥として広く認識されていたことが誤解を生んだ理由の一つです。
次に、お札やロゴへの使用も影響を与えました。
かつて、日本銀行券(千円札など)に丹頂鶴(タンチョウ)が描かれていたことがあり、また、航空会社JALのロゴにも鶴が使われていたため、鶴は日本を代表する鳥としてのイメージが強まりました。
これが「鶴が国鳥」と誤解される一因となった可能性があります。
さらに、国際的な誤解もあります。
1970年代に、丹頂鶴が日本の国際的なシンボルとして使われたことがあり、この影響で「日本の国鳥=鶴」という誤解が広まっりやすいかもしれません。
実際のところ、日本の国鳥はキジです。
キジが国鳥に選ばれたのは1947年、戦後に日本鳥学会が「日本を象徴する鳥」として選定した結果です。
キジは日本全国に生息し、特に平野部や山林に広く分布しており、他の国には存在しない日本固有の鳥です。
そのため、キジは日本の自然や文化を象徴する存在としてふさわしいと考えられました。
また、キジは日本文化や歴史とも深い関わりがあり、『日本書紀』や『古事記』に登場するなど、古くから日本人に親しまれてきました。
さらに、キジの勇壮な鳴き声は春の訪れを告げるものであり、自然の象徴とも言える存在です。
また、キジは農作物を守るために害虫を食べる益鳥としても、農民から親しまれていました。
一方、鶴が国鳥に選ばれなかった理由として考えられるのは、まず鶴の生息範囲が限られていることです。
特に丹頂鶴は北海道や一部の地域にしか生息しておらず、キジのように日本全土で見られる鳥ではありません。
また、鶴は縁起の良い象徴として特別視されているため、日常的に親しまれる存在として国鳥に選ばれるには少し神聖視されすぎていたのかもしれません。
鶴は祝い事や儀式で使われることが多く、一般の人々にとってはやや距離がある存在と見なされがちだったということも一因かもしれません。
さらに、絶滅危惧種であることも影響した可能性があります。
特に丹頂鶴は絶滅危惧種に分類されていた時期もあり、その点が国鳥として選ばれる際に問題視されたのかもしれません。
キジは当時比較的数が多く、全国で見ることができるため、より選ばれるにふさわしい鳥と見なされたのでしょう。
結論として、「鶴が国鳥になった」という話は誤解であり、実際の日本の国鳥は「キジ」です。
キジは日本の自然、文化、そして歴史とも深い関わりを持ち、その鳴き声や姿が日本らしさを象徴しています。
一方、鶴も日本を代表する鳥として広く認識されており、縁起の良い象徴として日本文化に欠かせない存在です。