地下鉄(メトロ)に乗って
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田舎者のわたしにとって、地下鉄は今でも苦手である。第一、景色がない。地下鉄を降りて、階段を上がって地上へ出ると、ときとして想像だにしなかったとんでもない場所に出る。
だからこの映画の原作者の、地下鉄を降りると過去へ行ってしまうという発想がよくわかる。
地下鉄は、どこか怪しい迷路のようなものを連想させる。
わたしのような多くの田舎者が、東京へ出て、地下鉄に乗ると、ある種不安のような、変なこころもちになるに違いない。なにしろ日本で地下鉄がある都市は、ほんとうに限られているのだから。
主人公のかつての先生が老人として登場し、地下鉄のホームで再会し、
「地下鉄は便利だ。どこへでも行けるのだから。」
と、つぶやくのはよーくわかる。どこへでも行ける。そうだ、過去へも行けるんじゃないか。
最初に登場する地下鉄の駅は、昭和39年の「新中野」である。群馬の田舎でまだ小学生だったわたしには、そのころ東京の都会でこんなものが走っていたなんて想像もつかなかった。世はまさに東京オリンピックの時代。さすがに群馬の田舎でもそのお祭気分が充満していた。わたしの小学校では、東京オリンピックを記念した競技などもあったりした。
さて、時は、今、やはり東京オリンピックの話題が騒がしくなっている。
どうするか。東京都民は、どう判断するか。
今週末が楽しみである。