円安を農業成長に! | 「アジアの放浪者」のブログ

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記録的な「円安」となっている現在。

1年前は、1ドル115円前後だったのに、現在は1ドル150円近く…。35円も違いが出ています。

しかし冷静に考えてみると、記録的なのは「ドル高」。つまり、ドルが他の通貨に対して突出しているのであって、円だけが大暴落しているわけではありません。

 

とはいえ、私が住んでいるタイの通貨(バーツ)と比しても、円安の傾向にあることは事実です。1年前なら、1円が0.28バーツほどだったところ、現在は0.26バーツを下回っています。これ、1万円両替したら200バーツの違い。320ml缶ビール6本分の差があります。

 

まぁこれだけの差なら、我慢の範疇なのかも知れません。でもそういえる背景には、「ドルに対してのみならず、他の通貨に対してもバーツ安になっている」という事実があります。円が安くなっても、バーツも一緒に安くなってくれていますから、円バーツの為替レート差は、円ドルの差と比較したらあまり大きくならないわけです。

 

日本では、円安だ、日本売りだと大騒ぎをしているようですが、円安にもメリットがあります。

そのひとつが、外国人観光客などの「インバウンド需要」の高まりが、外貨収入につながるということです。タイはGDPのうち12%が観光収入。それゆえ、タイの財務大臣がバーツ安を歓迎する姿勢をみせています。下に Bangkok Post 電子版のリンクを貼っておきます。

 

Weak baht aids tourism resurgence and growth: Arkhom (bangkokpost.com)

 

すでに人口減少が始まり、内需の先行きが不透明な日本ですから、インバウンドを整備するという視点は大切。なにしろ、コロナ禍前ですら、外国からのインバウンド観光がGDPの0.5%だというのですから、この産業に力を入れる価値はあるでしょう。

 

そして円安のうちに力を入れておきたい産業が他にもあります。それは「農業」。

経済産業省所管の独立行政法人、JETRO(日本貿易振興機構)が「日本青果物輸出促進協議会」という団体を設立しています。この団体は、日本のフルーツを積極的に紹介し、輸出につなげることを目的としています。たとえばひとつの活動として、10月13日に公開し、13万人以上が視聴している、こちらのビデオがあります。

 

 

「日本のぶどうは美味しい」。

これ、タイではすでに定説です。カキ、リンゴ、イチゴも人気が高い。

価格はタイのフルーツと比したら相当高いですが、間違いなく消費者はいます。「タイでは安いものしか売れない」というイメージを持っている人がいたら、それはもう、10年以上前のものだとご理解ください。

※タイでは貧困がなくなった、と主張しているわけではありません。高価なフルーツも購入できるレベルの所得層が増えたということです。そして、そうした所得層をターゲットに商売をすることは、けっして悪いことではありません。

 

幸い、そうした生鮮食品を日本から運ぶための技術的手段やルートはできています。それをさらに充実させて欲しい。

前述のように、バーツ安によってタイでは円安のメリットは小さいのですが、それでもこれを機に日本の農業に大きな期待を寄せたいと思います。さもないと、中国や韓国産のコピー商品がタイのマーケットを席巻してしまいそう…。

 

 

上の写真は日本のシャインマスカット。

タイでは400g、800バーツ(約3,000円)で売られています。

 

Japanese Shine Muscat Pack 400g. | Tops online