女王の国葬、タイへの影響 | 「アジアの放浪者」のブログ

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昨日(9月19日)、英国でエリザベス女王の国葬が営まれました。

私もタイから、女王陛下のご冥福をお祈りいたします。

 

ちょっと気になることとして。

このご葬儀には在英タイ大使がタイ国代表として参列していますが、タイ王室からは誰もご葬儀に参列されていないことです。もちろん何らかの理由があるのでしょうが、タイ国内に住んでいる身としては、そんな理由を詮索したら不敬罪に問われる危険があります。

 

タイ王族の参列がなかったにせよ。

タイのメディアは、エリザベス女王の国葬を大きく報じています。「王室」のことですから、国民の関心が高いわけです。

 

報道では、エリザベス女王のご功績を讃えると共に、その崩御が英国連邦加盟国に与える影響についても考察されています。同連邦には21ヵ国が加盟していますが、その中でジャマイカやバハナなど、女王を国家元首としている国が15ヵ国あるそうです。そして女王崩御を機に、国家元首をもたない共和制への移行を考えている国がいくつかあるそうで。

 

仮に、15ヵ国のうち複数の国家が共和制に移行した場合、その影響はタイにも及ぶ可能性があります。

タイではいきなり共和制になるとは思いませんが、「立憲君主国家」として、王室の権限をもっと明確にしようとする動き(それはすなわち、王族のもつ権限を法によって規定することになりましょう)が強まるのではないか。私はそう考えています。

 

この度のエリザベス女王の国葬では、国家元首であっても混雑を避けるため、乗り合いバスでの移動が求められています。

日本の天皇・皇后両陛下は、こうした英国側の苦慮に同情的で、乗り合いバスも含め、できるだけ英国側の要望に沿って行動されるようです。しかし、「そんなに不自由なら参列しない」と考える国家元首がいても不思議ではありません。それが、某国の国王が参列を見合わせ、また王族の参列も許さなかった理由になっているのかも。あくまでも某国の、かつ推測の話ですが。

 

日頃から「特別待遇」される癖が身についてしまったら、特別待遇されないことに耐えられなくなるのでしょうねぇ。特別待遇が当然の待遇になってしまうわけです。そして特別待遇されているのに、それを特別だ国家元首と受けとめられなくなった時、そういう姿勢に辟易している人たちからは、「国家元首制をやめよう」という声が高まる…。当然の成り行きのように感じます。

 

エリザベス女王の国葬。

日本では、安倍元総理の国葬問題と絡めて取り沙汰されているようですが、そんな国内問題の関心からだけでこのご葬儀をみていると、国家元首制に対する世の中の変化の兆し(特にタイへの影響)を、見逃してしまうことになるのでは。日本人の視野がもっと広がることを、願ってやみません。