スリランカ、破産か? | 「アジアの放浪者」のブログ

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東南アジア、南アジアを中心に、体験・見聞したことをレポートします。

市民生活が混乱し、暴動が起きています。

そして暴動が起きているから、なおさら市民生活が混乱しています。

 

スリランカ政府は1日、「非常事態宣言」を発出しました。

この宣言により、ゴタバヤ・ラジャパクサ―大統領は治安維持に関し、大きな権限を持つことができます。これはつまり、反政府運動に参加している人たち(暴徒ではない人たちもいます)に、警察や軍が過剰な弾圧を行う可能性が高まった、ということです。

 

なぜ、スリランカでこのような暴動が発生しているのか。

中国からの借款など対外債務が膨らみ、外貨不足が主な原因なのですが、背景については、時事通信の記事がわかりやすいです。

 

 

記事にある、1日13時間の計画停電って…。

私もネパールで体験したことがありますが、長時間の停電は、日常生活に深刻な影響を与えます。テレビも見れず、電気ポットも使えませんから、紅茶を飲むだけでも薪でお湯を沸かし(ネパールでは、電力不足とガス不足が同時に発生していました)、つくった紅茶を保温容器に入れて、しばらくはそれでしのぐ…。慣れればストレスも軽減されますが、これまで便利な生活をしてきた人たちが、急にこうした不便な生活を強いられるとなったら、感情が爆発する気持ちもよくわかります。

 

 

バスに放火したところで、外貨不足が解消するわけではありませんが、無策無能な政府に怒りを示すため、何か暴力的な行動に走らないと、気持ちの抑制ができないのでしょう。

 

当然、ラジャパクサ―大統領は身に危険を感じますから、これ以上暴力行為が発生しないよう、非常事態宣言を発出せざるを得ません。すると、治安維持のため下の写真のように軍や警察が出動しますから、状況がこんなになるまで手を打たなかった政府に対し、一部の国民はさらに感情を昂らせることになります。軍や警察の姿を見て、冷静さを取り戻す人たちもいるでしょうけれど、軍や警察が抑圧的な姿勢を示すことで、「恐怖心」よりも「さらなる怒り」が込み上げてくる人たちも少なくないことでしょう。

 

 

落としどころは、なにか。

緊急対策としては、やはりIMFなどの国際機関が支援を行うしかないでしょう。欧米諸国も、「スリランカ政府は中国政府べったりだ」という不満を抑え、早急な支援ができるといいのですが…。日本政府も、ラジャパクサ―大統領が就任するや、一方的に契約破棄されたコロンボ市内の軽鉄道建設計画にまつわる不信感を、一時的にでも封じ込められるかどうか…。

 

 

でも根本的には、国民がしっかり政治に関与して、短期かつ一時的な利益に走らず、長期的な国益を考えて投票行動に及ぶようにしなければならないと思います。

 

さらに。

21世紀は、情報通信技術が目覚ましく進歩しています。

これを機会に、「一旦選挙で選んだら、あとは政治家に任せる」という姿勢から、「選挙で選んだあとも、任期末に成績表をつける気持ちで、政治家の動きをしっかり追っていく」ということに、さらなる意識が置かれることを期待します。選挙直前だけじゃ…一夜漬けの試験対策と同じです。そんな状態が続いていたら、いつかは日本も破産になってしまうかも。それはあまりにも大げさだと自分でも思いますが、しかしタイのバンコクに住んでいますと、日本の国力低下を心の底から実感していますから、心配の種は根強く残ります。