硬貨も積もれば金(きん)になる | 「アジアの放浪者」のブログ

「アジアの放浪者」のブログ

東南アジア、南アジアを中心に、体験・見聞したことをレポートします。

コツコツと続ける大切さが感じられるエピソードです。

 

タイ東北部にあるナコン・ラーチャシマ―県に住む揚げバナナ屋さんご夫婦。

露店で揚げバナナを売って生計を立てながら1年かけて硬貨を貯め、それで18金のネックレス60gを購入しました。まずは以下の映像で、貯めた硬貨をショッピングカートに入れてゴールド・ショップ(金行)に持ち込み、店員がそれを数える姿をご覧ください。

 

 

こちらのカップル、夫ジャクポーンさん(32)と妻ジーラナンさん(24)。

お二人は、2年前から渋滞の激しい交差点付近で、揚げバナナを売ることを思いつきました。それで、交差点付近ですでに店じまいしている店舗のオーナーと交渉し、店先を揚げバナナ調理場として借りることに成功。それで商売を始めたのですが、これがまさに大うけ。

 

揚げバナナは1袋20バーツ。それを、交差点で信号待ちしている自動車の間を廻って販売するというビジネスモデル。

特に朝や夕方の時間帯は、交通渋滞が激しく交差点で信号待ちの自動車が多いため、小腹の空いた運転手や同乗者が、次々に購入してくれるそうです。おそらく、ほんのり甘い揚げバナナの味が、渋滞待ちのイライラを緩和することにもつながっているのでしょう。

 

 

2年前に二人で始めた商売ですが、今では調理補佐や売り子さん4人を雇用しています。さらに最近、別の交差点にもう1店舗、開業する準備を進めているそうです。

 

揚げバナナを購入してくれるお客さんの中には、硬貨で支払う人たちも少なくないそうです。信号待ちの限られた時間でのちょっとしたおやつですから、紙幣で支払うよりも、小銭で支払った方が精神的に負担感が軽減される、という人がいるのでしょう。使い道としての選択肢が少ない硬貨。ボーっと生きていると、すぐに溜まってしまいます。その溜まった硬貨を使う機会として、揚げバナナ購入はちょうどいいのかも知れません。「小銭」と呼ばれる所以ですね。

 

いずれにせよ、売り上げが伸びれば伸びるほど、硬貨が増える。

ジャクポーンさんご夫妻は当初、近くのコンビニに行って硬貨と紙幣を交換してもらっていたそうです。しかし、コンビニだって小銭の需要には限度があります。それに、こういうかたちで小銭と紙幣を交換していれば、金銭管理もそれだけ難しくなります(たとえば、硬貨を数え間違うなどしたら、売り上げが合わなくなります)。

 

そこで、硬貨を預けることについて銀行に相談に行った二人。銀行側の回答は、「硬貨計数機を使って金額を確認し預かることはできるけれど、手数料が2%かかります」というものだったそうです。日本のATMでは、普通に硬貨も預けられるんですけどねぇ。

 

薄利多売の商いで、貴重な売り上げの硬貨をもち込む度に、2%も手数料を取られるのはもったいない。

そこで夫婦が頼ったのが、金行、つまりゴールド・ショップ。硬貨で購入することが可能かどうか尋ねて歩き、ようやく1軒、「事前におおよその硬貨額を連絡する」という条件で、大量の硬貨での支払いを受け付けてくれる店舗を見つけたのです。

 

そして1年。

貯まった硬貨を1万バーツ(約36,000円)単位でビニール袋に詰め、店舗に連絡して実際に持ち込んだのが、11月27日でした。

 

事前連絡を受けた店舗も、他支店からスタッフを派遣して態勢を整え、3時間近くかけて硬貨のヤマを数えました。若干、ご夫婦による事前集計にミスがあったようですが、それでも12万バーツ(約432,000円)を超える金額が確認され、お二人は見事、2バーツの重さの18金のネックレス2個を購入することができたのです(注:この場合のバーツは金の重さを表す単位です。1バーツは15.2gですから、4バーツの重さは60.8gとなります)。

 

 

ナコン・ラーチャシマ―県では、今年の6月にも、50,000バーツ近くの硬貨を金行に持ち込んで、金のネックレスを買った41歳の女性がいましたね。彼女も揚げバナナを売っていました。揚げバナナ…手軽な資本で高利潤を上げられる商売なのかも知れません。

 

 

硬貨も積もれば、金が買える。

コツコツ、コツコツをひたすら繰り返していると、それが大きな結果につながることもある。これが教訓でしょうか。私も、硬貨を大切にしたいと思います。