国民より、カネ | 「アジアの放浪者」のブログ

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はたして、解決策はあるのでしょうか。

 

2月1日にミャンマー国軍が行ったクーデター。

国軍側は、「憲法の規定に従っている」と自己弁護していますが、圧倒的多数の国民は、それを認めていません。それで、「市民による不服従運動(CDM)」を行っています。それがもう、1か月も続いているのです。

 

AFPが、現地の様子をフォトニュースとしてまとめています。62枚の大作です。

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3330901?cx_part=top_category&cx_position=1

 

ここに来て、国軍は焦りを感じているようです。

インドネシアが主導して、3月2日にASEAN外相会議がオンラインで開催されました。ミャンマー国軍は、ASEAN諸国がクーデターに理解を示し、国軍が一時的に掌握した政権を前向きに受けとめることを期待していたようですが…。

 

互いに内政への干渉を避ける、という合意があるASEAN諸国ですら、国軍の行動に懸念を抱く国が複数あったようです。さすがにクーデターを非難する決議はありませんが、「スーチー国家顧問ら政治指導者の開放を求めた」国があったことは注目に価します。これは暗に、クーデターを支持しないという意味だからです。

 

 

国際社会で、孤立化していくミャンマー国軍。

警察を含む国軍内でも、既得権益の分配を十分に受けていない将校(すなわち非主流派)がCDMに寝返った、という報道もあります。

 

 

時間の流れは、国軍側に有利だと数日前にこのブログで記事にしましたが、勢いが衰えないCDMは、国軍に大きなプレッシャーを与えているようです。もはや、CDMを鎮圧するほうが先か。国軍内部の瓦解が先か。時間の流れが、どちらに有利なのか、判断しにくくなりました。

 

内部瓦解する前に、CDMの鎮圧を。

軍は武力行使によって、国民の士気を挫くつもりでしょう。中国政府が、香港の民主派に対して強い姿勢で臨んだように。しかしCDMに参加している市民の数は、香港の民主派とは比較にならないほど多い。そしてミャンマーの国土は、香港より600倍大きい。武力鎮圧は、簡単ではありません。

 

中国政府の加勢はあるか。

国軍はそれを望んでいるでしょうが、中国政府は勝ち馬に乗るために、もうしばらく様子を見るのでは。中国は、ミャンマー国内に施設している石油と天然ガスのパイプラインに依存しています。そしてそのパイプラインを維持運営している会社でも、CDM支持者が少なくありません。下手に動くと、パイプラインの栓が閉められる…。

 

昨日、国軍によって殺害された市民が、38人を超えたという報道がありました。

軍政中に構築した国軍のビジネス利権は、絶対に手放せない。よってスーチー氏らNLD指導者の釈放は、有り得ない。国軍も、引くに引けない状態です。国連が仲介に動いていますが、はたして。

 

政治の問題? いえこれは明らかに、カネの問題。人間の欲望が、一旦握ったカネを手放すことを許さないのです。国民の命よりも守るべきは、オレのカネ。これではもはや、国民の軍隊ではありません。