インド不可触民 | 「アジアの放浪者」のブログ

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中学時代、社会科の時間にインドのカースト制度について学んだ記憶があります。そして詳しいことは忘れていますが、マヌ法典、不可触民という単語も覚えています。

しかしその時は、まさか自分がインドにきて不可触民の人たちから直接話を聞くことになるとは思ってもいませんでした。人生は本当に不思議なものですね。

私が学校で学んだカースト制度の記憶は、婆羅門・王侯・商人(平民)・不可触民という4種別でした。
ところが、インドに来て不可触民にも4,000以上のカーストがあり、その中でも大きな差別・虐待がある、ということを知りました。婆羅門vs不可触民という単純な構図ではなく、不可触民同士でも上下関係が厳しく、差別があるということです。よく不可触民女性がレイプ・焼殺される事件が発生しますが(今でも!!)、その犯人は上位不可触民だったというケースも稀ではないのです。

でも、顔では見分けがつかないのも事実。彼らは相手のカーストをどうやって知るのでしょう?
インドで仲のよくなった不可触民の人の話では、姓や居住地域からバレテしまう、ということでした。特にインドでは南は清浄ではない方位と認識されており、村の南側に住んでいる人ほど低カーストである傾向が強いこと、また姓によって相手のカースト位置をある程度推測できる、というのです。

実際、この話をしてくれた彼のもともとの姓はダス(Das)。しかし今は、ラジャ(Raja)と姓を変えています。
ちなみに不可触民とされている人たちはインド全人口の85%と言われており、その中でひどい虐待を受けやすい下位低カーストは15%だということです。

下位低カーストの人たちの生活は、かなり厳しいものがありますが、カーストはインドの政治社会体制と密接に結びついており、問題解決は容易くありません。カーストを壊そうとする者はヒンドゥー教を否定することと同じであり、こちら側が人権問題として捉えていても、インドの人たちにしてみるとヒンドゥー教への冒涜に映るわけです。

経済発展の進むインド。下位低カーストでも、学業優秀ならば高収入を得る職場に入れる可能性がありますが、もともと彼らへの教育環境が整っていない現状、多くの人たちは生活を向上させる機会すら得られないまま、経済成長から取り残されているのです。

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