スルスルと読み易く、各登場人物のストーリーにも潔さがあって好きだった。
桜木紫乃の今まで読んだ小説とはタッチの違う、「普通」の作品だった印象。残酷さもなくて安心して読めた。
主人公ノリカは、「一生ストリッパーで生きて行く」という覚悟が出来ていて、男性に頼ることもなく、何かあると「ラブアロマ」にかけこむところは、そこまで徹底するのか、と…(ラブアロマはちょっと笑ってしまったけど)。女性用のそんな風俗があるのは知らなかったし、まず私は「ストリップ劇場」に興味を持ってしまい、渋谷道頓堀劇場に行こうと思ったほどだった。自宅近くにあるのに、8年間素通りしていたとは。小説より綺麗なものではない気がするけど、一度覗いて見たい気もする。それに驚きなのは、料金の安さ。私の知らない世界はまだまだ沢山あるんだなと。
道玄坂には、性産業に関わる人たちが沢山住んでいるようで、ワンルームにカプセルホテルの様なベッドを詰め込んだ、「タコ部屋」の様な物件があるそうで、そこでの風紀はめちゃくちゃなのだそうです。それは、あまり知りたくない世界だけど。
主人公ノリカは、「その他大勢にもなりたくないけど、突き抜けた才能もない」という立ち位置で、それを打破するために、20歳でストリップ劇場に入ったという大胆さを持っている。今までの友人や家族を捨ててまで入った世界、ストリップ一本で生きて行くという覚悟はもうこの頃から出来上がっているのだろう。
「たらこバターにチーズわかめのおにぎりと豚汁」の定番セットはカロリーが高そうだけど、とても美味しそうで、食べてみたくなった。こういう普段の食べ物のリアルな描写も今までの桜木紫乃の作品にはなかった。リアリティが出て良かった。妊娠が発覚した瑞穂も、分かった途端、今までの節度ある食べ物ではなく、メープルシロップとクリームたっぷりのパンケーキを食べるところにリアリティが出ていた。食べ物が「その人の今」を現わしている。
考えたらこれは「女性」のストーリー。それぞれの女性が主人公でその人生のストーリー。影で支える男性も優しくて深みがある人たちばかりで魅力的だった。

















