どうしてグァンスが、ファンが目にするような媒体で
あんなことを呟いたのか、理解に苦しんでいたボクは
工藤社長から電話をもらってはじめて理由が分かった。
あまりにひどいグァンスを奮い立たせるために
社長はユミと1度だけ逢う機会を与えたそうだ。
でも、グァンスにとってこれはマイナスだったような気がしてならない。
ファンからのおびただしい数のメールやコメントが事務所にもブログにも
ツイッタ―にも届けられた。
東京の事務所にも何十本もの苦情電話が鳴り続いたそうだ。
でも電話で話した社長は意外にも落ち着いて対処していた。
こうなることが彼には分かっていたかのように冷静だった。
緊急招集がかけられ、メンバーとスタッフ、そして現地の社長も
交えてのミーティングがはじまった。
その場での彼は、ただただ謝っていた。
1番ファンと身近で交流していた自分が
1番ファンが傷つくことをしてしまって
彼は心底、後悔していた。
そして見ているこっちが辛くなるくらい、憔悴しきっていた。
でも彼はボクたちの心配をよそに数日すると戻ってきた。
…元の彼らしく。
ユミから、1通の手紙をもらったそうだ。
『その手紙にどんな言葉が書いてあったんだろう?』
男が憔悴するほど落ち込む場面では
その彼女が彼を立ち直らせることは、はっきり言って難しい。
男と言うのは厄介な生き物で、落ち込んでいる時でさえ
彼女に対してプライドが邪魔して素直になれないことが多いから。
『そんなグァンスに、ユミはどんな言葉を贈ったんだろう?』
…正直、ユミだから出来るのかもしれない。
なんて思ってしまった。
ボクと付き合っていたころの彼女は、ボクが今どうしてほしいか
テレパシーのように分かってくれる人だったから。
ボクが祖父を亡くした時の彼女も、ボクがいいよ言うまで
そばにいてほしいことをすぐに分かってくれた。
そばにいてほしいのか、そっとしておいてほしいのか
そういうニュアンスを持ち合わせている女性だから
…彼女に任せたのかもしれない。
『社長は初めから分かっていて、彼女にお願いしたんだ。』
社長は数回しかユミと会っていないはずなのに
いつのまにユミのことを分かっていたんだろう?
…ちょっと複雑な感じがした。
そして…
今までどんなことがあっても、どんなに疲れていても
1日も休むことがなかった
ツイッターのグァンスが戻ってきたのは3日目の昼のことだった。
それからの彼は、一切ユミのことを話さなくなった。
彼は本当に強くなりはじめていた。
見ていてうらやましいくらいの彼の変貌に、少しだけ嫉妬した。