(前回のつづき)

中学校に進学したもののサッカー部が無かった。

当時存在した運動部は、野球部、テニス部、バレー部、卓球部、剣道部だった。

1985年当時は野球全盛の時代でサッカーをしている者はごく少数。

だからといって野球部できつい練習をするのも嫌だったので、テニス部に入ってみたが、これも自分には合っておらず、すぐに辞めた。

結局、部活動には所属せず、学校が終わると河川敷でひとりでサッカーの練習をする道を選んだ。

 

練習といってもボールリフティングやドリブル、シュート練習くらいで、指導者や練習相手がいたわけでもなく、ボール遊びのレベルだった。

 

12月になり体育の授業がサッカーになったときにクラスの友達より明らかに上手くなっていて、冬の間に学年の中でサッカーのうまい奴がいるという噂が広まっていた。

 

中2になった1986年、ワールドカップメキシコ大会が開催された。

初めて見る一流選手のプレーに鳥肌が立つような思いで釘付けになった。

日本で見るサッカーとは明らかに違った。

スタジアムが満員(日本では満員になるのはトヨタカップくらい)

芝生が緑(日本では剥げていたり、冬は枯れていた)

プレーの速さと正確さ

 

中継はNHKで深夜に放送されていた。

居間に布団を敷いて、夜中に起きて見る生活だったが、起きられないこともあり、何試合も見逃した。

たしか選挙の政見放送で放送枠が減ったと記憶している。

また当時はビデオデッキが家に無く、見逃したらもう見ることはできなかった。

 

開幕戦のイタリアvsブルガリア、準々決勝のアルゼンチンvsイングランド、決勝のアルゼンチンvs西ドイツはライブで見たのはよく覚えている。

 

アルゼンチンが優勝した後、大会のハイライトがNHKで放送され、そのビデオテープを入手したのと同じころにビデオデッキを買ってもらった。

この映像記録が自分のサッカー好きにさらに拍車をかけることになった。

(つづく)