2006年に95歳で亡くなった私のばあさんは、亡くなる前の20年くらいの間、
いらんことばかりして周囲を困惑させていた。
ボケてはいないのだが、あまりに元気なため余計なお世話までしてしまうのだ。

事例1
夏に娘(わたしからみておばさん)の家に泊りに行ったときのこと。
その日、おじさんは網戸の掃除のため、ホースで水を直接かけようとして、
サッシを閉めて準備をしていた。少しの間、その場所を離れたところ、
ばあさんがそこを通りかかって、
「真夏なのに窓を閉め切るとは」とサッシを全開にしておいた。
そこに戻ってきた何も知らないおじさんは勢いよく水をかけた。
家の中は水浸しになった。

事例2
おばさんの家は大阪なのだが、ばあさんを岡山に連れて帰るのに、
おばさんは新大阪駅でばあさんを乗せる役、

岡山に住んでいるおばさんの姉が岡山駅で
ばあさんを降ろす役と役割を決めていた。


新大阪駅のホームで、おばさんはばあさんに
「次の新幹線(こだま)には乗らずにその次に来る新幹線(ひかり)に乗るから
ホームで待っておくように」と言っておみやげを買いにその場を離れた。
おばさんが戻ってくるとばあさんはいない。
こだまに勝手に乗ったのだ。
おばさんは、大慌てで駅員に連絡し、車掌にばあさんを確保してもらい、岡山駅で
おろしてもらう手配をし、結局自分も岡山駅までやってきた。
疲労困憊である。

事例3
私の父(ヒロシ)が、ばあさんとその兄(100歳)を車に乗せたときのこと。
運転中に半ドアの警告等が点灯した。
助手席を見たら、ばあさんがドアの取っ手を引いていた。
父:「ばあさん!何しとるんじゃ!」
ば:「これは何かと思うて引いてみたんじゃ」
父:「車が動いとる時にドアを開ける者がどこにおるんじゃ!」
ば兄:「まぁ、ヒロシ、そんなに言うな」
車は目的地に到着
ば:「ヒロシ、どうやってドアを開けるんじゃ?」
父:「さっき運転中に開けよったじゃないか!」
ば兄:「まぁ、ヒロシ、そんなに言うな」
100歳になっても兄妹愛はあると父は言っていた。

このほかにもいろいろあるのだが、また思い出したときに書こうと思う。