これは幼稚園の発表会で起こった出来事である。

長女のいぶりんは当時4歳で、クラスのみんなと劇をやることになっていた。

 

劇はクラスの全員が登場するのだが、その物語のストーリー上、出てくる動物は

ウマ、キツネ、クマ、リス、ヤマネコでそれぞれ5人ぐらいが同じ動物を担当して

ひとりひとりにセリフがあった。

途中で先生がピアノを弾き、それに合わせて歌を歌うシーンもあった。

 

我が家のいぶりんはヤマネコの役で出番は最後の方であった。

私はずっとその模様をビデオカメラで撮っていた。

 

いぶりんが登場する順番になった。

いぶりんは隣の子に何か文句を言っている。

隣の子の立ち位置が違うなどと言っているようだ。

こういうことには完璧を求めるようで、結構厳しい。

家ではいい加減なのに・・・

 

そして先生のピアノの後、みんなでセリフを言うシーンになったのだが、

壇上の子供たちが固まっている。

何が起こったのか静まり返っている中、

すかさずいぶりんが

 

「もう!ちがうじゃないかー!」

 

ビデオカメラにも十分収録できるほどの声で先生に抗議したのである。

会場はどよめいた。

どうやら先生のピアノの曲がこのシーンの曲ではなかったらしい。

 

発表会には私の会社の人たちも保護者として何人か来ており、

「すごいつっこみでしたねぇ」

と絶賛された。

 

「もう!ちがうじゃないかー!」

は、しばらくの間、我が家の流行語になり、

いぶりんが、何か間違いをすると注意する言葉となっている。