いよいよダビデが王となる話。
 ダビデは、サウルとヨナタンの死を知り、その死を悼んで、哀悼の歌「弓」を歌う。ヨナタンとは愛で結ばれた大の仲良しだったからわかるが、自分の命を何度も何度も狙ったサウルにも哀悼の気持ちを持ったというのには、驚いた。自分の敵と言ってもよい人をも愛することができる、器の大きな人物だなあと思う。
 ダビデは、ヘブロンでユダの王となる。その期間は、7年6ヶ月。イスラエルでイスラエルとユダの王となる。その期間33年。30歳から40年間の在位だ。その間に、ペリシテ人を破る。この時も、しっかりと主の託宣を求め、主の言う通りに攻めて、成功を収めた。
 ダビデは、神の箱をエルサレムに運んだ。主の箱がついた時、ダビデは、跳ね踊った。妻で、サウルの娘ミカルは、それを見てさげすんだ。ダビデは、よっぽど嬉しかったのだろう。子どものような無垢な心の持ち主なのだろうか。
 7章、ナタンの預言では、主は、ダビデに安らぎを与え、子孫に跡を継がせ、王国の王座を約束された。ただし、ダビデが望む主の家を建てるのはダビデではなく、その子孫である、と明言する。それに続くダビデ王の祈りは、ただただ美しい。Kさんが、謙遜と賛美と受容だ、とおっしゃっていた。うまくまとめられたなあ。
 11章ウリヤの妻バト・シェバ。有名な話だ。水浴びをしていたバト・シェバが大層美しくて、魔がさしたのか。ダビデはバト・シェバの妊娠を知り、ウリヤを死の戦地に追いやる。
 これまで完璧だったダビデが大きな過ちを犯してしまった。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった、と一言。そして、ナタンの叱責。その子は死ぬ。しかし、ダビデは、バト・シェバを妻にし、次に生まれた子が、ソロモンである。
 どうでもいいことかもしれないが、バト・シェバは、ダビデからわざと見える所で水浴びをしていたのではないか、と私は思う。自分の美貌を最大限に見せていたのでは。ウリヤの妻から、ダビデの妻へ何ランクもアップではないか。しかも、ソロモンを生んだ。ウリヤの妻のままでは、次の王を生むこと、次の王の母になることはできなかっただろう。悪い、というのではない。それぐらいの気概を持った女性だったのではないか、とふと思っただけだ。
 ナタンの叱責。「あなたに油を注いでイスラエルの王としたのはわたしである。‥‥イスラエルとユダの家をあなたに与えたのだ。不足なら、何であれ加えたであろう。なぜ主の言葉を侮り、わたしの意に背くことをしたのか。」
 不足なら、欲しいといえば、主は何でも与えてくださるほど、ダビデを愛しておられた、ということなのだろう。すごいな。しかし、ダビデは、背いてしまった。初めての大きな過ちである。サウルなら王位剥奪、これまでなら、厳しく厳罰を下されてきた神だ。しかし、ダビデにはひたすら優しい。叱責はしたが、許されたのだ。それだけの人材だったのかな。
 ダビデは、旧約新約を通じて聖書の中で何度も何度もでてくるスーパーヒーローだ。新約で登場するイエスキリストと同じくらいの重要人物と言えるだろう。人望もある、敵を愛することもできる、主に選ばれた人物だ。ただイエスキリストと違うのは、ダビデは人間だったということだろう。人間ダビデは、過ちを犯す。主に背く。しかし主に帰り、旧約の厳しいはずの主が許してくださる。主から特別扱いを受け、主に最も愛された人物だった、と言えるだろう。