中学受験は大変なのだ。12歳だとまだまだ精神的に未成熟である。それなのに「人生を賭けた大勝負」(大げさではないでしょ)をしなければならないのである。不安定になるのも仕方ない。
 実は、親父も、その昔中学受験がきっかけで「自律神経失調症」で朝起きられなくなった。今思えば、医者がつけた病名だが、ただ単に精神のバランスが狂っただけに思う。


 いまどきの中学受験は難しすぎる。不必要だとは言わないが、勉強をしなければならない量が多過ぎるのだ。受験勉強が好きな子どもはそんなに多くないだろう、ましてやSaraは「あの学校に合格したいけど、きついことはしたくない」と思っているのだ。
 親父にもボコボコに怒られるし、好きなドラムに向かい合う時間も減って、心はボロボロに
 出来れば、試験には平常心で臨みたい。それで、精神的ケアの話。


 Saraの直前のテキストは、過去問以外は親父がつくったテキストだった。一応仕掛けとして、だんだん、難しくなっていくようにつくってあったが、直前の5日分は、総復習的問題で簡単になっていくように編集してあった。
 Saraは過去問の点数が試験10日前から急に伸びてきて、調子よく勉強するようになっていた。勢いとは恐ろしいもので、それまで手も足も出なかったと思われる難問(『中学への算数』でC)も解けるようになっていた(ときどきだけど)。


 ところが、Saraは試験前日に自分を見失ったのだ。その日は朝から何かおかしかった。朝の計算で、ケアレスミスを連発。ここ数日ほとんど満点(悪くても1問まちがえ)だったのに、70点しか取れなかったのだ。
 テキストの問題もほとんどできない。前日に自信をつけさせるための問題が逆効果。Saraも易しい問題(しかも得意分野)が出来ないで、どうして良いかわからない感じ。

 Saraママによると、英語、国語もなんかオカシイ。
 気持ちがフワフワしていて、地に足が着いていないのだ。
 顔もどことなく惚けていてアホな子に見える(普段のSaraだ)。


 夕方、eduport(親父の塾)に移動して、過去問演習。帰国の算数の問題は易しいので、前日に解かせよう(12月初旬一度やったもの)と、前日用にとってあった。
 採点するとまさかの65点叫び。ここ数日の最低点で、前回やったときより10点も落ちてる。Saraもまさかの点数で激しく動揺している。
 親父は、試験前1週間は、なるべく怒らないように自分を戒めていた。
 (一瞬躊躇したけど)
「Sara! 落ち着け」 
 張り手パンチ!ビックリマーク
 ハッスルのRGのように、空を飛ぶSara。
「ウエェ」と泣くSaraしょぼん(泣いたのは、親父に張り手喰らったより、あまりに低い点数にショックを受けて.。算数で点が取れないと100%絶対に落ちる、もうダメだと思ったと後でSaraママに言った
)。
「バカ野郎、泣きたいのはこっちだよ。試験前日に自信つけさせるために易しい問題とっておいたのに、こんな点数取りやがって。いつものSaraに戻れ、おまえはもっと難しいテストで90点以上とってた(その前の日のこと)んだぞ」
「ヴェェェ……」汗汗とさらに激しく10分以上泣いて、泣き疲れたSaraに。
「どうすんだ。もう1枚あるぞ。18年度もやるか」
「やるぅ」と力なく頷くSara。
「もし、これも失敗しちゃったら、最悪の状態で試験受けに行くことになるんだぞ、わかってんのかはてなマーク
 それでも「やる」と言う。
 18年度の問題を置いて、親父は別の教室に授業に戻る。
 Saraは酸素を吸入してから問題に向かった。
 時間になって戻ると、顔つきが変わっていた(昨日までの顔に戻っていた)。
 採点すると95点。まちがえた1問は、時間などから考えて捨て問として良い問題。
 採点結果を見て、「フゥー」Saraは大きな大きなため息を漏らした
 その後、教室で二人で夕食を食べた。
「試験の日に緊張したり、上がったりは誰でもするんだよ。前の日にこんなに緊張したんだから明日は大丈夫だな」
 食べ物を頬張りながら、頷くSaraは自信のある顔に戻っていた

 

試験前日に、吹っ飛ぶほどの張り手を見舞って良かったのか。普通の親はやらないだろうと思う。
 しかし、この日の張り手は、親父の拳骨に絶対反対のSaraママも「あれは仕方ない」と言っている。
 前日になって試験が怖くなって、不安で仕方なくなったSaraに、「おまえは一人じゃない、親父もママも一緒に闘っているんだよ」と伝えられたのが良かったと思う。


 試験当日の朝、校門の所で頬を張って、気合いを入れ合っていたら、Saraママに怒られた。

親父ドクロ


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