この方は、Sさん(30代・女性)という人で、主に摂食障害と、頭痛や腕の痛みといった不定愁訴を抱えている方である。


 摂食障害を診るのは初めてであったが、内臓エネルギー的には消化器系の異常であることはわかっているので、そこから施術に入る。

 検査をしていくと、明らかに消化器系の反応がある。聴けば、頚椎が真っ直ぐになっているらしい。ミリタリーネックというやつである。臨床例(2)でも少し触れたが、消化器系の異常を起こすと、腹圧の問題から、前後方向への重心の崩れを引きこす。過前湾であるとか過伸展を起こしている場合はそのようなことが多い。ただ、ミリタリーネックに関しては、第8脳神経との関わりから、内耳の問題も起こしやすく、鞭打ちになって耳鳴りがするのは、こういう関係からである。

 Sさんの体温は低めだそうで、そう考えると冷えにも弱い。頚椎の問題や全体の検査から、表のメインな症状に関しては、消化器系の異常であるけれど、裏に潜んでいるのは腎臓エネルギーの問題であろうと結論付ける。顎関節にも問題があり、頭蓋骨の歪みもそこそこ出ている。


 まず、足の方からエネルギーのブロックを解除していく。大腰筋の問題を取り、両腕の大腸関係のエネルギー、左腕の心臓のエネルギーも解除してく。当然、腹部はカチカチになっているので、その反応を見ながらである。背部では、肩甲骨の内側の硬結があり、それを解除。ここは胃酸過多でも反応は出やすい。そうやって頚椎まで上がってきて、顎のロックを引き起こしているであろう頚椎部を施術し、環椎・後頭関節の問題を矯正する。

 腹部はこれだけで、ずいぶんと柔らかくなった。


 さて、面白いのは、こうやって消化器系の反応を取っていくと、今度は裏の問題、すなわち腎臓のエネルギーの反応が身体に歪みとして現れてくることである。一つには、左の梨状筋症候群があるためでもある。全体のバランスを取るために、こういったものが表向き消えているのが、補正作用をこちらで変えてしまうために、隠れていたものが現れてくるのである。現に、左の臀部のラインは、この時点で崩れを起こしている。

 一石二鳥を狙って、左のSOTOを行う。形の上ではSOTOであるけれども、ブロッキングはしていない。第一次呼吸の反応を見ながらSOTOを行い、エネルギーがつながったあたりで終える。

回転構造の問題はこれだけでなくなった。


 頭蓋骨の歪みから見ても、一筋縄ではいかない部分はあるが、根気良く施術していけば、体の負担はずいぶんと軽くなるものと思われる。


 残念ながらSさんは遠方の方であるので、なかなか施術する機会を持てないのが残念である。