以前に僕は小説ばかりを嗜んでいたわけで
辞書並みの分厚いサリンジャー。図書館で詩を見たくて。
詩の棚に置かれている。置かれているというよりは、すでに手にとっていた。
天才だと感じる美を追求するジャン・コクトーさんの詩。それもいいが。
突き刺さるものがなかったんだ。美女と野獣の映画に。
よほど現実に近いと思う。サリンジャーの手紙などは絵空事に遠い。限りなく現実に近い虚構。
偽物はどうせ偽物にすぎなく。なおさら、遠くに近い方が、それはかえって真実に近いのかもしれない。
大袈裟かもしれないが、いずれにせよ。フィクションの世界なら、ぜひそこには意味を込めたい。
「ああ、僕は神を愛してる。ああ、僕はなんて神に愛されてるんだ。」
なんて、詩は今は書きたくない。
だから、こう書く。
「随分と僕を殺してきたね。たくさん。たくさんと。大嫌いな彼を好きにはなれないな。僕を好きだと言えば、話しはそれからだけどね。」


