吉田修一さんの作品は『悪人』が映画も含めて印象深く、この作品もずっと気になっていた。

 

気になりつつも10年近く読むこともなかった作品をこの度ようやく読了。

 

冒頭から殺人事件が描かれていて3人の犯人らしき人物が登場。

物語は犯人らしき人物を描きつつ複数場面が同時進行。

3人とも普通の生活を送っておらず怪しさ満載。

このため、上巻を読了後は直ぐに下巻に手が伸びて最後までページをめくる手が止まらなかった。

 

早く犯人が知りたい!!

 

沖縄を舞台にした場面では米兵にレイプされそうになる少女が登場。それに憤慨。

ゲイの恋愛の場面では、マイノリティの生きにくさに同情しながら最後まで読み進めた。

 

結局犯人は何に対して「怒り」を持っていたのか不明であるなど、ややモヤモヤ感が残るものの、大事な人を信頼する気持ちの大切さを巧く描いていると思う。

 

自分の身近な人物が殺人犯だったという点では薬丸岳さんの『友罪』を思い出しつつ、それに勝るとも劣らない結紮作品だと思った。