この作品には強い思い入れがある。

 

実はわが家には中学1年生から不登校になった息子がいて、そこから高校に進むも中退、新たに高校に入るがそこも中退し引きこもっていた息子がいた。

 

このため、世間で8050問題(高齢の親と引きこもりの子どもからなる世帯が増加している問題)がクローズアップされた際には、他人事ではないという思いがずっと心中にわだかまっていた。

 

このため、この作品も読んでみようと試みたものの、内容がとてもリアルで、読み進めると、胸が苦しくなり、本を買っては処分、買っては処分を繰り返していた。

 

今回4冊目で、ようやく読了することができた。

というのも、我が家は先月離婚したことから、両親にはもう頼れないという状態を作って、息子が就職したからである。ようやく8年間背負っていたつらい思いを手放すことができた。

 

息子は世間の厳しさを知らない。きっと何度も困難に向き合う必要があり苦労するであろう。

でも、その苦労を乗り越え糧にして強く生き抜いて欲しいと思う。

 

もし、息子に困ったことが起きたら、いつでも助ける準備はしている。ただ、あえてこちらからそれを伝えるのは控えている(甘えてしまうといけないので…)。

 

本作品は、いじめを理由に歯医者の息子が不登校、引きこもりになり、7年後にいじめた相手を訴えて戦うといった内容。

引きこもりを持つ家庭の姿がリアルすぎる。

執筆に当たって入念な取材を行ったのであろう。

 父親の必死な姿に感情移入し何度も泣きそうになった。

終盤には当時いじめていた者を訴え、この裁判の場面が感動した。

 現代社会の問題の一角を描いた傑作だと思う。

 

もし、引きこもりの子どもを持つ方がいたら、諦めずに、それでいて感情的にならず広く相談して解決の光を見つけ出して欲しい。