雪山遭難 (小説部屋投稿短編 その3)
いつの間にか、俺は雪山で遭難している。
あたりは真っ白でなにも見えない。
ただ冷たい風と雪が頬を突き刺し、もはや頬には痛みの感覚がない。
あたりは真っ白でなにも見えない。
ただ冷たい風と雪が頬を突き刺し、もはや頬には痛みの感覚がない。
足を深い雪に捕らわれながら、ただひたすら足を前に踏み出す。
日頃から家内が口うるさく俺を貶していたので、やけになり昨日家を飛び出したのだ。
列車に乗り、昔懐かしい山に軽装で向かった。山を見れば気も落ち着くだろうと・・・。
山を歩きながら、日頃のことを思いだすと、さらに気が滅入ってきた。
生きることのなんと面倒くさいことか。
俺の人生はいったいなんだろう・・・。
ひたすら家族のために働き、厭な上司の言葉にも耐え・・・。
もはや携帯電話は通じない。
今日は一日天候が良いという天気予報はみごとに外れていた。
指先もだんだん感覚が無くなり、痛くもない。
今日は一日天候が良いという天気予報はみごとに外れていた。
指先もだんだん感覚が無くなり、痛くもない。
さすがにやばいと思うようになった。
自暴自棄の気持ちも吹雪とともに、何処かへ吹き飛んでしまった。
吹雪を避ける場所は無いかとあたりを見回すが見あたらない。
必死で目をこらして探していると、斜め右下の少し離れたところに明かりが見える。
こんなところに家があるとは信じられなかったが、藁をもつかむ思いで膝まで沈む雪の中をゆっくりと明かりをめざして足を運ぶ。
ようやく家の前にたどり着き、必死で入り口を叩いた。
こんなところに家があるとは信じられなかったが、藁をもつかむ思いで膝まで沈む雪の中をゆっくりと明かりをめざして足を運ぶ。
ようやく家の前にたどり着き、必死で入り口を叩いた。
「どなたですか?」
「助けてください、雪がひどくなり道が判らなくなりました。吹雪が止むまで中で休ませてください。」
そう言うとドアが開き、目の前には一人の色白の美しい女性が立っている。
「おかえりなさい」
そう言って微笑みながら俺を中に入れた。
(えっ?)
そう言われ、じっとその女性の顔を見る。
俺は懐かしい気持ちになったが、誰だか判らない。
どこかで逢ったような気がするのだがどうしても判らない。
「助けてください、雪がひどくなり道が判らなくなりました。吹雪が止むまで中で休ませてください。」
そう言うとドアが開き、目の前には一人の色白の美しい女性が立っている。
「おかえりなさい」
そう言って微笑みながら俺を中に入れた。
(えっ?)
そう言われ、じっとその女性の顔を見る。
俺は懐かしい気持ちになったが、誰だか判らない。
どこかで逢ったような気がするのだがどうしても判らない。
「そうね、随分前のことだから判らないでしょ」
「すみません、どなたかと勘違いされているようですが、たいへん助かりました。吹雪が止みましたら失礼します。」
「そのうちに判りますわ」
「すみません、どなたかと勘違いされているようですが、たいへん助かりました。吹雪が止みましたら失礼します。」
「そのうちに判りますわ」
そう言って、その女性は暖かい飲み物をさしだした。
感謝しながら 一口飲むと、何故か懐かしい味がする。
感謝しながら 一口飲むと、何故か懐かしい味がする。
突然、誰かが頭の奥の方から話しかけた。
(何を寝ぼけているのだ、お前の妻だろ・・・!)
「え?俺の?」
そう言われてもまだピンと来ない。
(300年前、お前は人間の世界を見てくると言って出て行ったではないか・・・)
だんだんそんな気がしてきた。
もう一口飲んだ。
(何を寝ぼけているのだ、お前の妻だろ・・・!)
「え?俺の?」
そう言われてもまだピンと来ない。
(300年前、お前は人間の世界を見てくると言って出て行ったではないか・・・)
だんだんそんな気がしてきた。
もう一口飲んだ。
頭の中で白く煙るようにかかっていた靄がだんだんうすれてきた。
(ああ、俺には確かに妻がいた、しかも美しく優しい妻がいた。)
(娘が一人いて、名前は雪といったような気がする・・・・)
(ああ、俺には確かに妻がいた、しかも美しく優しい妻がいた。)
(娘が一人いて、名前は雪といったような気がする・・・・)
さらにもう一口飲むと、急に眠くなり意識が無くなった。
どれほど眠ったのだろう・・・。
遠くで誰かが俺の名を呼んでいる。
遠くで誰かが俺の名を呼んでいる。
ゆっくりと目を開けると、娘の美登里が心配そうにのぞき込んでいる。
大きな声で「ママー!パパが目を覚ましたよ!」
大きな声で「ママー!パパが目を覚ましたよ!」