10) 須磨様の正体
電話はアカデミアからだった。
以前、須磨様とお呼びした水商売風の女性が電話で私を指名してきたとのこと。
今日は出勤日ではないと説明したが、火曜日なら電話連絡すれば出勤可能と言っていたので呼んで欲しいとのことである。
(わざと無理を言い、私の対応をチェックするつもりか?)
時計を見ると5時40分を指している。
「7時までに入ることができると思いますので、その時間にお来し頂けるよう連絡してください」と伝えた。
以前、須磨様とお呼びした水商売風の女性が電話で私を指名してきたとのこと。
今日は出勤日ではないと説明したが、火曜日なら電話連絡すれば出勤可能と言っていたので呼んで欲しいとのことである。
(わざと無理を言い、私の対応をチェックするつもりか?)
時計を見ると5時40分を指している。
「7時までに入ることができると思いますので、その時間にお来し頂けるよう連絡してください」と伝えた。
急いで部屋に戻り、シャワーを浴び、ホスト雅哉になる。
紺のサマースーツにエルメスのネクタイ、時計はフィリップ・シャリオールにした。
値の張る高級ブランドは避けて、軽い感じの装いに抑える。
車の中でムスク系のコロンを吹き付け、急いでSLKを走らせた。
紺のサマースーツにエルメスのネクタイ、時計はフィリップ・シャリオールにした。
値の張る高級ブランドは避けて、軽い感じの装いに抑える。
車の中でムスク系のコロンを吹き付け、急いでSLKを走らせた。
15分前にアカデミアに入る。
(まだ来ていない、間に合った!目的はなんだろう?)
入り口に立ち、須磨様のご来店をお待ちする。
暫くすると、グリーン系の薄手のツーピースを着た須磨様の姿が見えた。
早速、彼女の前まで走り寄ると、「あら」と一声出し、微笑みながら私の腕に手を通した。(やはり間に合って良かった)
(まだ来ていない、間に合った!目的はなんだろう?)
入り口に立ち、須磨様のご来店をお待ちする。
暫くすると、グリーン系の薄手のツーピースを着た須磨様の姿が見えた。
早速、彼女の前まで走り寄ると、「あら」と一声出し、微笑みながら私の腕に手を通した。(やはり間に合って良かった)
「御指名ありがとうございます」そう言って、店内までエスコートする。
ほんの20メートルの距離ではあるが、眉をひそめる通行人もいた。
いつもの繁華街の風景であり、ほとんどの人はたいして気にもとめない。
ほんの20メートルの距離ではあるが、眉をひそめる通行人もいた。
いつもの繁華街の風景であり、ほとんどの人はたいして気にもとめない。
ボックスのソファーに深く座り、右隣に座った私に、微笑みながら
「本当に来てくれたのね。冗談かと思ったわ。貴方は律儀なのね。」
「いえ、私もお声がかかることを光栄に思いますし、またお会いできると思っていましたので、喜んで参りました。本当にありがとうございます」
「今日は、少し爽やかな感じにしているのね。紺は若い人が着るといいものね」
「ありがとうございます。今日は何をご用意すればよろしいでしょうか」
「そうね、私も9時に店に行くから、水割りを用意して頂戴」
「分かりました、ジャックダニエルでよろしいでしょうか?」
「ええ良いわよ、良いお酒知ってるのね」
ウェイターに合図してジャックダニエル・シングルバレルを用意してもらう。
水割りを作り、彼女に差し出す。
「貴方、医学生なのね、店長に聞いたわよ。何年生なの?」
「6年です」
「国家試験の勉強あるでしょ?いいの、こんなことしてて大丈夫なの」
「ええ、何とかなってますし、週二日だけですので負担にはなりません。私はこの仕事が好きなので、勉強の合間の気分転換にもなります」
「貴方、この世界初めてじゃないでしょ?」
「はい、入学前の一年半、キャバレーやクラブでお手伝いをしていました」
「やはりそうなのね、その店、イエロー・キャブって言わない?」
(何で知っているのだ、いったいこの人は何なのだ?)
「ええ、そうですが・・。といっても7年前のことですけど・・・」
嬉しそうに、彼女は微笑みながら
「覚えていないでしょ?私もあの店にいたことあるのよ」
じっと彼女の顔を見る。(はて?)
7年前のことを必死で思い出す。
色々なことが走馬燈のように頭の中を駆けめぐる。
「・・・・」
「エリちゃん覚えてない?」
「優しいお姉さんでしたけど・・・」
「彼女に色々教えて貰ったでしょ?ふふふ」
「ええ、確かに」
「彼女と時々一緒にいた人覚えていない?」
「たしか恵子さんと・・」
「 そう、私よ」
「えっ?!全然感じが違いますよ。いつも忙しそうでしたし、私がお話しできる人ではありませんでした」
「エリちゃん言ってたわよ、色々教えてもすぐ覚えて上手になるって。頭いいんだって、嬉しそうに話してたわ。とっても優しい子だったし子供みたいに純粋だったので、みんなも色々可愛がっていたそうよ」
「・・・・」
「本当に来てくれたのね。冗談かと思ったわ。貴方は律儀なのね。」
「いえ、私もお声がかかることを光栄に思いますし、またお会いできると思っていましたので、喜んで参りました。本当にありがとうございます」
「今日は、少し爽やかな感じにしているのね。紺は若い人が着るといいものね」
「ありがとうございます。今日は何をご用意すればよろしいでしょうか」
「そうね、私も9時に店に行くから、水割りを用意して頂戴」
「分かりました、ジャックダニエルでよろしいでしょうか?」
「ええ良いわよ、良いお酒知ってるのね」
ウェイターに合図してジャックダニエル・シングルバレルを用意してもらう。
水割りを作り、彼女に差し出す。
「貴方、医学生なのね、店長に聞いたわよ。何年生なの?」
「6年です」
「国家試験の勉強あるでしょ?いいの、こんなことしてて大丈夫なの」
「ええ、何とかなってますし、週二日だけですので負担にはなりません。私はこの仕事が好きなので、勉強の合間の気分転換にもなります」
「貴方、この世界初めてじゃないでしょ?」
「はい、入学前の一年半、キャバレーやクラブでお手伝いをしていました」
「やはりそうなのね、その店、イエロー・キャブって言わない?」
(何で知っているのだ、いったいこの人は何なのだ?)
「ええ、そうですが・・。といっても7年前のことですけど・・・」
嬉しそうに、彼女は微笑みながら
「覚えていないでしょ?私もあの店にいたことあるのよ」
じっと彼女の顔を見る。(はて?)
7年前のことを必死で思い出す。
色々なことが走馬燈のように頭の中を駆けめぐる。
「・・・・」
「エリちゃん覚えてない?」
「優しいお姉さんでしたけど・・・」
「彼女に色々教えて貰ったでしょ?ふふふ」
「ええ、確かに」
「彼女と時々一緒にいた人覚えていない?」
「たしか恵子さんと・・」
「 そう、私よ」
「えっ?!全然感じが違いますよ。いつも忙しそうでしたし、私がお話しできる人ではありませんでした」
「エリちゃん言ってたわよ、色々教えてもすぐ覚えて上手になるって。頭いいんだって、嬉しそうに話してたわ。とっても優しい子だったし子供みたいに純粋だったので、みんなも色々可愛がっていたそうよ」
「・・・・」
「ある日、大学を受けたいといって辞めてしまった。お世話になった人たちにきちんと挨拶をしてから、店のアパートを出て行ったそうね。その後は合格したかどうか誰も知らなかったみたいね。」
「すみません、私もいろいろありまして皆さんの所に伺うことができませんでした」
「そんなこと良いのよ、みんなも応援していたもの。」
「でもね、こうしてこの世界の仕事が好きだって言ってくれて嬉しいわ」
「ありがとうございます」
「今夜は私の店に寄って頂戴、面白いものが見られるわよ」
「何でしょうか?」
「来てのお楽しみ、ふふふ」
「分かりました、楽しみにさせていただきます」
「店に入ったら、仕事をしているふりをしてバーテンダーの横で見ていてね」
「分かりました。伺わせていただきます」
「すみません、私もいろいろありまして皆さんの所に伺うことができませんでした」
「そんなこと良いのよ、みんなも応援していたもの。」
「でもね、こうしてこの世界の仕事が好きだって言ってくれて嬉しいわ」
「ありがとうございます」
「今夜は私の店に寄って頂戴、面白いものが見られるわよ」
「何でしょうか?」
「来てのお楽しみ、ふふふ」
「分かりました、楽しみにさせていただきます」
「店に入ったら、仕事をしているふりをしてバーテンダーの横で見ていてね」
「分かりました。伺わせていただきます」
時間が来たので店長に同伴で帰ることを伝えて店を出る。
彼女は嬉しそうに私の腕を掴んでタクシーに乗り込んだ。
彼女は嬉しそうに私の腕を掴んでタクシーに乗り込んだ。