俺は今も昔もチェッカーズが大好きだ。
そして、その中でもこの曲が一番、と言ってもいいくらい好きな歌がある。
『鳥になった少年の唄』
ガラスの向こうを 見詰めて囀る 白い羽根濡らし 飛ぶことを忘れて
レースのカーテンを弾く 君は何も気づかないまま
むらさきの空に 小枝は揺れるよ
ガラスの向こうを 夢みて羽搏く 消えない想いをくちばしに衝えて
小さな写真のかけら 赤い木の実 なくしたボタン
窓辺に運ぶよ こもれ日の中を
鳥よ あの青い空へ はやく飛んでゆけ すべて終ったはずだよ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた
ガラスはひび割れ 羽根が風に舞う そっと窓を開け ベールを差し延べる
暖かい君の指が 傷ついた翼を包む
零れる涙は もう遅すぎたよ
僕は寂しい空へ 帰りたくはない ここで眠らせておくれ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた
鳥よ あの青い空へ はやく飛んでゆけ すべて終ったはずだよ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた
この曲の歌詞は非常に難しい。
俺の解釈はこうだ。
鳥…ある女性を思っていた「少年」の生まれ変わり。ふと止まった部屋のベランダから、想い人を発見。囀るも気づかれないため、衝動的に彼女へ向かって羽ばたくも窓ガラスに衝突。再び空を飛ぶことよりも、愛しい想い人の手の中で死ぬことを望む。
君…「少年」の想い人。ベランダにとまる鳥が生まれ変わりとは思いもしないが、窓ガラスにぶつかった鳥を介抱するところからも優しさがうかがえる。
こんな2人の物語だろう。
この曲の歌詞はポップスとしては非常にめずらしく第三者目線で書かれている。その証拠に「僕」という単語が一度しか出てこないのだ。
基本的には一部始終を知っている語り部(死んだあと鳥になったことを分かる人など本人以外いないのだから第三者に決まっている)が淡々と語る。
すべて終ったはずだよ――冷酷な言葉を投げかけるのも、新たな生をまっとうしてほしい語り部の優しさゆえ。そして3度に渡り「鳥になった少年は君のことだけを覚えていた」と繰り返す。そうとは予想だにしない彼女に届くように。
声に宿る悲壮感は、音階的なものもさることながら、当時フミヤがもっとも気に入っていた曲、という思い入れゆえだろう。
この曲ほど、熱唱型のフミヤの歌唱法が似合う曲はないとさえ思う。
歌詞もメロディも非常に高いレベルだと思う。
こういうリリカル(叙情的)な楽曲、今は減った気がするのだが、それは俺が新しい曲に対するアンテナを立てていないからだろうか。
これだって一口に言えばただの恋愛ソングなんだけど、そこから物語を紡ぐのか、それとも好きな気持ちを「好き」と書くだけなのか、そこが作詞家の腕の見せ所だと思うんだけどねぇ。
いや、全部が叙情的なのも困るけどね。感情移入できない重い歌ほど聞いて疲れるものないしね笑