熟熟年別居

夫の両親と同居する事37年

80代後半の二人は結婚してもう半世紀以上一緒に生活していた事になる。
それが・・それが・・
ここに来て  もう人生の残りの大切な時間だというのに
おばあちゃんが夫の妹夫婦のところに行ってしまった。

おじいちゃんが入院している間に・・

おじいちゃんは言葉の暴力でずっとおばあちゃんを苦しめていたらしい
それが入院したことをきっかけに今までの積もり積もった感情が出てきて 恐怖にまでなり
帰って来るおじいちゃんを受け入れることが出来なくなってしまっていた。
現実を受け入れられなくて 少し認知症の様になってしまっていた。

入院先のおじいちゃんから用事があってかかってくる携帯電話にも出られないくらい・・

そしてその話を聞いた妹夫婦が「二人が一緒に居ることは良くないから家に
連れて行きます」となった。

入院中に一応おばあちゃんの体調不良を理由に転居する事を説明し
「仕方がない」と言ったおじいちゃんだったが
退院してきてそのおばちゃんの居ない空虚な感じに悲鳴を上げている。

そこに居るのはあれほどおばあちゃんを恐怖に落とし入れた
暴君とはまるで別人のような
「おばあさんはいつ帰って来るんだ?」
を連発する弱りはてた見るも無惨なおじいちゃんの姿だった。

それを見て私は「だったら何で優しい言葉をかけてあげなかったの?」・・
と心の中で責めている・・

優しい夫は「一番かわいそうなのはおじいさんなのだから それは言ってはいけないよ」と
それで言いたい気持ちをぐっと我慢して 
おじいちゃんと夫との3人の生活がスタートした。

私はそれを熟熟年別居と名付けた。
おじいちゃんはどうしてそういうことになったのか想像もつかないみたい。

こんな小説の様な物語が目の前で繰り広げられる事の意味は何だろう。

今から私が出来る事は何だろう?

♡夫とのコミュニケーションを今まで以上にとって心を通わせる事。
(今まで分かってくれているだろうと思って言わなかったことが
分かっていなかったという事が多かった様な気がする。)

♡落ち込んで居るおじいちゃんが少しでも心が明るくなるように話しかけること。

♡美味しいご飯を作ること。

おばあちゃんとの37年間 いっぱいお世話になったけど 私も悔いはない。
人はそのステージステージで精一杯やれば悔いは残らないんだと知った。
今までお世話になった事に感謝して・・

おじいちゃんのことは私たちに任せて下さいね。