実家が今の場所に引っ越したのは僕が小学校2年の時だった。
家の台所にはドアが一つだけの小さな冷蔵庫(約80リットル)があった。
当時住んでいた家は、戦後間もなく建てられた三軒長屋の一つで、六畳と四畳半に土間の台所がある2Kの間取りだった所を、土間部に床を貼り居住空間に改装し、庭だった場所に当時ユニットとして販売されていたらしい小屋の様なものを連結し増築され4Kとなり、トイレと超狭いお風呂がある家になった、そこに両親、祖父、姉と生まれたばかりの弟の6人が暮らしていた。
当然子供部屋は無く、二段ベットの上が自分のパーソナルスペースだった。
基本的に表の道や公園が遊び場だったので、パーソナルスペースが無くても不自由は無かったが、同級生達の家が次々と新築されていき、子供部屋というお城を手に入れているのはとても羨ましかった。
両親からついに家を建てるとい話を聞いた時は、僕は子供部屋を手に入れる事が出来るのだととても喜んだ。
新しい家は、隣の町内だった、新築予定の場所には古い民家が建っていて、何年も前に空き家となり雑草に覆われている場所だった。
その空き家は、友達と空き家探検で入った事のある家で、家の中は先住民のものと思われるエロ本が残されていた場所だったので強烈に覚えていた。
まさかその場所に新しく自分の住む家が建つとは思いもよらなかった。
引越しの日、見送りに来た近所の友達に見送られながら、トラックの荷台に乗り新居へ向かった。
隣の町内なので、手を振りながら追いかけてきた友達はそのまま新居に着くことになる。
新居の広い台所には、ダイニングテーブルとドアの二つある緑色の大きな冷蔵庫が置いてあった。
新居に引っ越す時に冷蔵庫も新しくなったのだ、しかもナショナル製だ。
当時、とても巨大に見えた冷蔵庫(約200リットル)は、現在の電気屋では2人用として売られている。