新渡戸稲造の名高い「武士道」が英文で書かれたのには、あるきっかけがある
武士道の序文にかかれている。
『1889年頃、ベルギーの法学者・ラヴレー氏の家で歓待を受けている時に宗教の話題になった。ラヴレー氏に「あなたがたの学校には宗教教育というものがないのですか?」と尋ねられ、ないと答えると「宗教なしで、いったいどのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか?」と繰り返された。私はその質問に愕然とし、即答できなかった。』

諸外国では宗教と道徳とがセットでくっついている。宗教=道徳ではないというのは、日本人にとっては、それほど不思議な考えではなかったが、キリスト教徒であるラブレー氏からは、不思議に見えたのだ。

ここから、新渡戸の「武士道」が生まれることになる。