2018年 メキシコ
監督 アルフォンソ・キュアロン
主演 ヤリッツァ・アパリシオ

2019年の第91回アカデミー賞で、最優秀外国語映画賞・最優秀撮影賞・最優秀監督賞の3冠に輝いた、Netflix配信の白黒映画。

クレオは、メキシコのローマ地区の白人家庭に住み込みで働く家政婦。
家事だけでなく、子供達にとっては乳母の役割も果たしている。

日々、家庭の誰よりも遅くまで働き、誰よりも早く起きて働くクレオ。
時には彼とデートもし、自分の幸せを感じる時もあった。

ある時、クレオは自らの妊娠を感じ、映画館で彼に告げる。
彼はそれに大した反応もせず、「トイレに行く」と言ったまま姿を消す。


賛否両論あるが、自分は大好きな映画。
まずは絵・構図が美しい。印象に残る場面が多々あり、まるで絵画を見ているよう。
オープニングシーン、クレオと子供が寝そべって空を見上げるシーン、クレオの彼氏のぶらぶらシーン、街中を走るシーン、森の中を駆け抜けるシーン、だだっ広い自然の中を車が走り抜けるシーンなどなど。
右に左に平行に移動する画面も安定感がありながら、進んだ先に何が出てくるのか、ワクワクする。
特に最後の海の長回しのシーンは、緊張感があってドキドキした。

ストーリーについて、「何も起こらない」「淡々と」という意見が多いが、多分音楽がないせいだと思う。
出産シーンや、血の木曜日、最後の海岸シーンなど、流行りの胸キュン青春映画よりよっぽど大変なことが起こっている。
しかし、この映画には、シーンを盛り上げる音楽が一切ない。
生活の音、自然の音、話声が聞こえるだけ。
音楽と言えるのは、劇中でかけられるレコードやラジオから流れるものだけ。
音楽がないことで、逆に音楽の力を感じることができた。

物語が最も沸騰するのは、やはり最後の海岸シーン。
起こる出来事も、クレオのセリフも凄く印象に残る。ここで泣けた。

白黒の画面も、画像自体は粗くなく、非常に高解像度の白黒なので美しい。
私はデビュー時のジャームッシュを思い起こした。(画像は粗かったが)
白黒画像だけでなく、淡々とストーリーが進む雰囲気も似ていると思う。
ストレンジャー・ザン・パラダイスを見直したくなった。

町山智浩さんによると、この映画は、子供の頃の家政婦に対する監督の謝罪の気持ちから作られたという。
子供の頃の監督の実体験を元に作られており、当時の家政婦さんにもたくさん話を聞いたらしい。
メキシコは元スペインの占領地。それによる差別や貧富の差、当時の政治的な出来事や空気感、全てを白黒の画面の中で表現して振り返り、謝罪している。
ちょっと引き目で遠めから撮影にも、そんな「何もできなかった子供の頃」という目線の現れらしい。
何という深さ。
色んなことを知れば知るほど好きになっていく。

もっと多くの人に、この映画の良さを理解してもらえればと思う。
ん?アカデミー賞取ってるってことは、理解されてるのか(^^;;。

あ〜1時間半で一気に書けた。
2017年 イギリス/アメリカ
監督 マーティン・マクドナー
主演 フランシス・マクドーマンド

第90回アカデミー賞で、フランシス・マクドーマンドが最優秀主演女優賞を、サム・ロックウェルが最優秀助演男優賞を受賞した作品。

娘を殺されたヘイズが、なかなか犯人を捕まえない警察に対して苛立ちを覚え、道路沿いの看板3枚に広告を掲載した。
①娘はレイプされて焼き殺された
②犯人はまだ捕まらない
③どうした?ウィロビー署長

そして、町が動き出す。


出演者全員が哀しみを抱えて生きている。
ヘイズがその哀しみを看板に掲げたことで、色々な人の哀しみが明らかになり、時に暴発する。
「哀しみの連鎖」と言うのがしっくりくる。

そして、物語は解決しない。
まだ先に続いていくが、それは観る人の想像に任される。
想像を膨らませられる映画は好きだ。

マクドーマンドとロックウェルはオスカーを掴んだが、特にロックウェルの演技は素晴らしかった。
起伏の激しい感情の動きに、嫌気もさしたし、同情もしたし、感動もさせられた。
「他人は自分の鏡」という言葉があるが、他人によって隠れていた自分が写し出された、という瞬間が何度かあり、涙が出た。

ストーリーも新鮮で、思わぬ展開に驚かされ、感動させられた。
特にウィロビー署長のくだりは爆泣だった。

暗く哀しみに満たされながら、最後に少しだけ光が差す映画。

人は1人では生きられない。
(ガンダムの歌の歌詞にあったような。。。)

2018年 アメリカ
監督 ブラッドリー・クーパー
主演 レディ・ガガ

ロック(カントリー?)スターで飲んだくれのジャック。
ライブの後に酒を飲むために立ち寄ったバーでアリーの歌を聴き、惹きこまれる。
その後、アリーを誘い一晩飲み明かす中で、彼女にますます惹かれていく。
そして、その時に聴いたアリーの歌を、自分のライブで歌わせると、大絶賛。
アリーはスターへの階段を登っていく一方、ジャックは。。。

ストーリーに目新しいものはなく、特に驚くことも、感動することもない。
アル中、ドラッグ中毒で命を落とすロックスターは、これまで数人見てきた。
目新しくない。

この映画では、なんといっても、圧倒的な力を持つアリーの歌が主役。。
レディ・ガガのことはあまり知らないが、とんでもなく歌が上手いのはどこかで聴いた気がしていた。
ここまでとは思わなかった。
曲が持つメッセージを身体全体に刷り込むような、力強い歌声。
この歌声を大音量で聞けただけで、価値があった。

あれ?ボヘミアン・ラプソディーみたいだ。

ブラッドリー・クーパーの歌は、映画では良い雰囲気に聞こえたが、サントラを聴くとそれほどでもなかった。
レディ・ガガと一緒なら、誰の歌でもそれほどではなくなると思うけど。
アカデミー歌曲賞くらいは取るだろう。

レディ・ガガのライブに行ってみたくなる映画。

アリーが再婚しないことを願う。
2018年 イギリス・アメリカ
監督 ブライアン・シンガー
主演 ラミ・マレック

1991年にエイズによる肺炎で亡くなった、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーの伝記映画。

ストーリー割愛。

なんと言っても最後20分のLIVE AIDの再現シーン。IMAXの大画面、大音響でQUEENのLIVEを見られる幸せ。「伝説のLIVEを体験している」という当事者感は、Blu-rayでも、4Kでも8Kでもかなわない。IMAXならではの体験。これだけでも大満足。爆泣きだった。

本物のLIVE AIDの再現力もとても高く、1回映画を見て、本物のLIVE AIDを見て、も〜1回映画を見たが、かなり細かいところまで忠実。
フレディなんか、一挙手一投足まで忠実に再現。
俳優自身が「そっくりさん?」と思うくらいメンバーに似てたことが(ロジャーはちょっと。。。)、当事者感が増した理由だと思う。


ストーリーは、事実とは違う部分がかなりあるらしい。
個人的には、エイズの話をLIVE AIDの前にした、という違いに違和感を感じたけど、そのおかげで曲の歌詞達が今まで以上に響いたのも事実なので、映画というエンターテイメントとしてはありかと。フレディ自身が、エンターテイナーであることを望んでいたようだし。

マイク・マイヤーズの細かいネタとか、フレディが出っ歯すぎるとか、最初のファンファーレとか、失笑するところもあったが、太い幹はフレディの孤独感。
妻や子供がいるメンバーに嫉妬して「自分が愛されていない」と思ってしまうところは、泣ける。
やっぱり愛だな、愛。

QUEENのLIVEを大画面&大音響で体感できる傑作。
映画館で見るべき映画。

字幕監修が増田勇一だったのは驚いた。
2016年 アメリカ
監督 デイミアン・チャゼル
主演 ライアン・ゴズリング

2016年アカデミー賞で、監督賞を始め6冠に輝いたミュージカル映画。

ハリウッドのカフェでアルバイトをしながら女優を目指すミア。
次から次へとオーディションを受けるが、次から次へと落とされる。
一方、ハリウッドでジャズピアニストを目指すセバスチャンは、自分が好きなジャズピアノを弾ける仕事がもらえないでいた。

オーディションに落ち、失意の中歩いていたミアは、流れてくるジャズピアノに心をひかれ、音が聞こえる店に入っていく。
そのピアノは、セバスチャンが店のオファーに反抗して弾いた曲だった。
その場ではすれ違う2人だったが、友人のパーティーで再開し、ひかれあっていく。

2人の夢と恋はどのような結末を迎えるのか。


ミュージカル映画を観たのは、レ・ミゼラブル以来だと思う。
曲の良し悪しが映画の質を大きく左右すると思うが、1曲だけは耳に残った。
ちなみにレ・ミゼラブルは、好きな曲が4〜5曲あるし、ダンサー・イン・ザ・ダークは全部好きだ。

絶賛する声が多いが、そこまで好きにはなれなかった。
映像がカラフルで美しいことと、ラストシーンにはひき込まれたが、他はそれほどひき込まれず。
「ミュージカル」というだけで「非現実」なのだが、ストーリーまで「非現実」感が強かった。
都合のいいように話が進んでいるように思えた。
映画自体「非現実」ではあるが、俳優達は「現実」のように演技をするし、CGやVFXも「現実」に見せようとするのが映画だ。
どうしてもそのギャップに違和感を覚えてしまう。

さらにダンスにはそれほど詳しくないが、オープニングも、2人のダンスも、それほどひき込まれなかった。
まだ「チアダン」のダンスの方が心を動かされた。

ライアン・ゴズリングは大好きな俳優だが、魅力全開というほどではなかった。
ジョセフとか、別の俳優でも良かったのでは?

あんまり考えなくていい、楽しくて美しいミュージカル映画。